イオンは構造改革によって総合スーパーを「強い小売業」に転換

 イオンのショッピングセンターに行けば分かりますが、総合スーパーはもはや専門店と競合する存在ではありません。今は、ユニクロなど人気の専門店を積極的に取り込み、ショッピングセンター全体の魅力を高める戦略を取っています。

 自前の売り場は、競争力のある生鮮食品や、競争力のあるPB(トップバリュ)などを中心にして、専門店と競合する衣料品や雑貨の売り場は縮小しています。つまり、イオンは、専門店と競合せず、共存する存在になっています。

 外部テナントを取り込むと、そこからは賃貸収入が入ります。今やショッピングセンターは小売業(自前の売り場)と、不動産業(テナント管理)のミックスとなっています。さらに、魅力的なGMSを全国に展開することで、クレジットカードや銀行などの総合金融業の利益成長も見込めます。

 このようにしてイオンは、総合スーパー事業を衰退ビジネスから再び成長するビジネスに変えたのだと思います。

 自前の売り場にこだわらず、魅力的な空間を作ることで稼ぐ発想は、不動産業のものです。魅力的な立地をおさえている不動産業が、小売業に参入すると成功しやすいのは、もともと自前の売り場がないからです。JR東日本が駅ナカなどに展開する「ルミネ」や、三井不動産が展開する「ららぽーと」は、魅力的な空間を作り、競争力の高い専門店を呼び込むことで、競争力のある小売業を作ることに成功しています。