今後も金相場は上昇する可能性があるが、円建て金はドル円の変動に留意

 以下の図は筆者がイメージする、金相場の上昇要因とトランプ米大統領の関係を示したものです。

図:金相場の上昇要因とトランプ大統領の関係(イメージ)

出所:筆者作成

 

 前回の「金価格上昇どこまで?トランプという「有事製造機」は大統領選までノンストップ?」で書いた通り、目下、同時発生している複数の金価格の上昇要因のいずれにも、トランプ大統領が関わっていると筆者は考えています。

 金価格上昇要因の同時発生にトランプ大統領が深く関わっているとすれば、そのトランプ大統領が米国の大統領で居続ける間、金価格は上昇する可能性があると筆者はみています。

 ただ、材料の間で競合が発生することも考えられます。例えば、米国の利下げがきっかけで景気が向上する期待が高まり、株価が大きく上昇した場合、利下げそのものは金相場にとって上昇要因ですが、同時に発生した株高は金相場にとって下落要因となります。上昇要因と下落要因が同時に発生した場合、金相場が上下に大きく変動することが考えられます。

 また、トランプ大統領がFRB(米連邦準備制度理事会)にさらに圧力をかけ、米国で利下げムードが強まれば、ドル安が進む可能性があります。もしそうなれば、2009年から2013年頃まで起きた、ドル安主導の金価格上昇の再来となる可能性があります。

 “ドル安”がドル建て金価格のメインの上昇要因になれば、先述のとおり、円建て金はドル建て金ほど、上昇しない可能性があります(上昇はするものの、上昇率がドル建てに比べて低くなる可能性がある)。

 2020年11月3日(火)の米大統領選挙前まで、トランプ大統領は再選を目指して自身の施策を強く実行し続ける可能性があり、その結果、金価格の上昇要因が強化され、金価格は上下の変動を伴いながらも上値を切り上げる可能性があると筆者は考えています。円建て価格については、ドル/円の動向に注視することが必要だと思います。