【1】貿易戦争のダメージが製造業に集中

 日本と中国は、ともに製造業王国です。産業構造を見ると製造業の比率が高く、貿易戦争のダメージを受けやすい構造です。

 米国も製造業だけ見ると、業況悪化が顕著です。ところが、米国では早くから製造業の空洞化が進み、既に製造業への依存は小さくなっています。代わって、構成比が高まっているのが、IT・ヘルスケア・金融などの非製造業。経済構造の違いゆえ、貿易戦争のダメージは日中に重く、米国には比較的軽くなっています。

米ISM製造業・非製造業景況指数:2014年1月~2019年5月

出所:米ISM供給公社

【2】IT大手の力の差が歴然、米企業が世界のITインフラを支配

 グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトなど世界のITインフラを支配する米IT大手の業績は好調ですが、日本のIT大手の業績は冴えません。米IT大手が世界のITインフラを支配して稼いでいるのに対し、日本のIT大手は世界標準を取ることができず、狭い日本で過当競争に陥り、収益が悪化している例が増えています。

 中国には、アリババ、テンセント、バイドゥなど、中国市場を支配して巨大化したIT大手があります。中国政府が米IT大手の参入を拒絶したおかげで、中国のIT大手が中国市場を独占的に支配して成長してきました。ただし、米IT大手のように、世界のインフラを支配する力はありません。

 近年、ITを使ったサービスが世界中に広がり、ネットがリアルを代替する流れが加速しています。こうした環境下、IT産業の力の差が米国と日本、中国の株価パフォーマンスの差につながっています。

【3】シェール・オイル&ガス革命の恩恵が米国に大きい

 米国はかつて、世界最大の原油輸入国でした。ところが、シェール・オイルの増産が続き、今や世界最大の産油国となり、原油を輸出するようになりました。かつて採掘することができなかったシェール層から大量のシェール・オイル、シェール・ガスを産出するようになった効果はとても大きく、米国経済の競争力を高めました。その恩恵が、今も続いています。この大きな変化を、「シェール・オイル&ガス革命」と呼びます。