米国株式にも分散投資していきたい理由

「日本株式だけに投資をすれば良いのか」との議論は常にあります。確かに「日本株に投資するリスク」を見直す価値はありそうです。実際、グローバルグロースが安定化し、外需が回復に向かっても、(インバウンド需要を除く)日本の内需伸び悩みに直面する現実に向き合うと、日本経済の先行きを楽観視することはできません。

 図表2は、平成元(1989)年初を起点とし、日本株(TOPIX)と米国株(S&P500指数)の長期推移を比較したものです。日本株がいまだ約36%下落している状況であるのに対し、米国株はドル建てで約9倍、円ベースで約7.6倍となってきた実績には改めて注目です。

 日本株の長期的劣勢は、不動産バブル崩壊、金融不況、円高デフレ不況の影響などが挙げられていますが、少子高齢化の進行で総人口が減少する中、「人口動態の変化」が成長期待を抑制している現実を意識する必要があります。

 図表3は、日米の「労働人口(15歳から64歳までの人口)」の推移を比較したものです。

 労働人口の減少分を、シニア世代(65歳以上)、女性、外国人労働者の就業参加やロボット(?)導入で補うことができないと、日本では持続的な成長を期待しにくい状況が続きます。

 一方、米国では労働人口が増加を続けており、イノベーション(技術革新)と投資(資本家のリスクテイクマネー)拡大が結びつくことで、生産性改善と経済成長が後押しされています。もちろん、米国でも「貧富の格差」や「政治的な分断」など諸問題はあります。それでも、在庫循環や設備投資循環を乗り越え、先進国経済の主役を担い続ける米国の「中長期の成長期待」には注目したいと思います

図表2:日米株式市場の長期推移(平成元年以降)

注:S&P500(円)=S&P500指数をドル建てと想定して円換算した指数(週次)
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2月8日)

図表3:米国と日本の労働人口の推移比較

注:労働人口=15歳から64歳までの総人口(千人)
出所:OECD(経済協力開発機構)のデータより楽天証券経済研究所作成(2018年末)