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谷深ければ山高し?構造改革期待のブラジルにも注目
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

谷深ければ山高し?構造改革期待のブラジルにも注目

2018/11/9
・イベント通過の安堵感で谷から抜け出るか
・構造改革期待で好転したブラジル市場にも注目
・ブラジル株式に分散投資する上場投信がある
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イベント通過の安堵感で谷から抜け出るか

 今週の日米株式市場では、大方の予想通りで終わった米中間選挙に安堵した買い戻しが先行する動きとなりました。

 NYダウ平均は最高値(10月3日)よりの下落幅の3分の2以上を戻し、S&P500指数やナスダック100指数は半値以上戻しました(11月7日)。

 米国市場のリスクオン(選好)回復を受け、東京市場でも海外勢を中心とする先物買い戻しが先行。日経平均株価は年初来高値(10月2日)よりの下落幅の約43%を戻しました(11月8日)。

 参考までに「今年の相場と似ている」と注目される2014年と比較した相場推移を図表1に示しました。

 2014年も米中間選挙が実施され、与党(当時はオバマ民主党)が劣勢となりました。選挙に向けた不透明感などでNYダウは10月に急落しましたが、選挙直前から反転上昇し、年末高を示現。当時も10月に急落した日経平均は、ドル/円の上昇(円安)を追い風にして年末高に向かいました。

 もちろん、今年が2014年の「写真相場」となる保証はありません。ただ、2014年に日経平均が年末高に向かうカタリスト(契機)となった日銀の金融緩和・ハロウイーン緩和の役割を、今年は「米中貿易戦争の停戦」に期待したいと思います。トランプ米大統領が11月1日に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席に電話をし、11月末にアルゼンチンで開催されるG20(主要国首脳会議)での米中首脳会談と貿易交渉で合意したとされるからです。

図表1:いよいよ似てきた?2014年と2018年の日米株式相場

注:上記グラフは参考情報であり、ダウ平均の年末高傾向を保証するものではない
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(11月7日)
注:上記グラフは参考情報であり、日経平均の年末高傾向を保証するものではない
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(11月8日)

 

構造改革期待で好転したブラジル市場にも注目

 一方、最近の新興国市場(MSCI Emerging Markets Index)の底入れにも注目です。

 中国の習主席は5日に開催された第1回中国国際輸入博覧会で「中国は今後15年で物品とサービスを合計40兆ドル(約4,500兆円)輸入する」と表明しました。

 景気減速(経済成長率の鈍化)に直面する中国は、投資・輸出をエンジンとする成長から個人消費主導型成長へのシフトを目指し、自動車減税や輸入関税引き下げを実施する方針も示しています。中国の消費拡大と輸入拡大が実現するなら世界の経済成長を下支えしそうです。

 そうした中、ここのところ新興国株式の回復をリードしているブラジル市場にも注目したいと思います。

 10月28日に実施されたブラジル大統領選挙(決戦投票)で、「ブラジルのトランプ」と呼ばれるジャイル・ボルソナロ下院議員(右派のPSL[社会自由党])が左派のアダジ元サンパウロ市長に勝利しました。ブラジル市場は、約13年続いた左派政権(労働党中心)の終えんと、財政再建、年金改革、民営化などの「構造改革」を公約に掲げてきたボルソナロ新大統領の誕生を期待。ブラジル市場は大統領選挙前から堅調に転じてきました。

 図表2が示すとおり、株式市場を象徴するボベスパ指数は年初来高値をすでに更新しました(年初来騰落率は+14.8%)。通貨レアルの対円相場も安定化しています。2019年初に大統領に就任するボルソナロ氏は、金融市場の評価が高いパウロ・ゲジス氏(市場重視派の経済学者)を財務大臣に指名し、新政権が新自由主義的な経済政策と構造改革を進める姿勢を確認しています。

図表2:ブラジルの株式と通貨レアルは堅調に推移

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(11月7日)

 ブラジルの株式や通貨レアルが来年も堅調を維持するには新政権下で、ブラジル経済の弱点とされてきた財政再建が目に見える形で現れる必要があります。

 ボルソナル大統領が、議会の大勢を占める左派勢力との調整を経て、年金制度改革、バラマキ的支出の縮小、民営化策を実行に移せるか否かを見極める必要があります。

 なお、ブラジルは世界でも有数の資源大国であり農畜産大国でもあります。米中貿易摩擦の影響で、ブラジルから中国向けの大豆輸出が拡大しています。新大統領の誕生を契機に、ブラジルの政治経済動向は今後一層市場の注目を集めそうです。

 

ブラジル株式に分散投資する上場投信がある

 ブラジル株式に投資するには、個別銘柄に投資する方法以外に公募投信やETF(上場投資信託)を活用する方法があります。

 参考までに、売買が比較的簡単な東証上場ETFである「ブラジル株式指数上場投信(東証 1325)」を下記します。

 同ETFは、ブラジル株式を象徴するボベスパ指数(円換算)に連動する投資成果を目指す上場投資信託です(原則として為替ヘッジは行われません)。

 ボベスパ指数は、ヴァーレ(鉱山)、イタウ・ウニバンコ(金融)、ブラデスコ銀行(金融)、ブラジル石油公社(石油)、アンベブ(飲料)などブラジルの大手企業(約65銘柄)で構成されている株価指数です。ブラジル株式や通貨レアルが上昇すればNAV(基準価額)や取引価格は上昇しやすく、ブラジル株式や通貨レアルが下落すれば下落しやすいのが特徴です。

 取引単位は100口で、直近の1口当たり取引価格(210円)を前提にすると、2万円強でブラジル株式に分散投資することが可能です。ブラジル投資の潜在的リスク要因としては、

(1)FRB(米連邦準備制度理事会)による追加利上げが新興国市場全般に与える影響

(2)米国や中国を中心とする世界経済を巡る不透明感の強まり

(3)新大統領が進める構造改革が頓挫(とんざ)して市場の失望を誘う事態

などが挙げられます。

 ブラジルの政治・経済面の改革を期待し、長期の視野で国際分散投資を検討するには興味深い投資対象と考えています。

図表3:ブラジル株式連動型上場投信(参考情報)

注:上記は参考情報であり、特定の銘柄やETFを推奨する目的のものではない
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年11月8日)
 

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