「一段高」「反転高」の動きに注目

 私が記憶する限り「年末高への期待」がなかった年はなく、年初から株価が上昇した年は一段高期待が盛り上がり、低迷相場の年でも反転高期待が生じてきます。期待がもっとも高まるのは、もちろん「年末より少し前の時期」ということになり、具体的には秋です。株価が持ち直しの様子を見せ始めている本年は、通年通り、いやそれ以上の「年末高」が期待されることになるでしょう。

 もちろんそれを否定するような見方も当然のようにあります。たいていの場合、「まだ相場を取り巻く環境に変化はない」というものです。足元であれば「米中貿易摩擦は落ち着きを見せていない」が筆頭になると思われ、次いで「新興国不安」も払しょくできているわけではないというものでしょう。

 ただ、これら悪材料についても相場がそれを織り込んでいれば、ここから改めて嫌気される可能性は過去よりも低いのが通例です。その意味では「年末高期待」を打ち消すのは、今想定されていない「新たな悪材料」ということになります(すでに存在する悪材料が急拡大した場合も同様)。まずはこの視点を持って年末相場に向けた銘柄選択をすることになりそうです。

 日経平均が年初来高値(2万4,124円15銭)をつけた1月23日以降の物色動向は、年末高に備える意味でもおおまかに頭に入れておくべきものと言えます。すべてのセクター・銘柄が売られることはなく、逆にすべてが買われることもないのが株式市場です。そして、この先の動向は少し前のそれとつながっていることが多いのです。

 今年前半、為替相場が円高に傾いたとき、物色はほぼ内需株一色となりました。小売株や外食株が目立って買われていました。好調な消費動向も背景にあったものと思われます。その後、日本の政治問題(森友学園問題など)が取りざたされる局面においてグロース株の優位が鮮明になりました。同時に米中貿易摩擦の激化を嫌気し、中国関連株が売られました。その後、長いこう着相場に入りますが、その中にあって小型株が売られ、大型株が比較的しっかりとする展開を続けています。ここから導かれるこの先の考え方は「内需株か外需株か」、「グロース株かバリュー株か」、「小型株か大型株か」というものです。

 現在、株価が高値圏にある銘柄は「一段高」、安値圏にある銘柄は「反転高」の動きを注視していくことになります。「必ずこうなる」と決めつけるのではなく、物色動向に合わせた機動的な売買が望まれるものと考えられます。

 参考となりそうな「10万円株」を取り上げておきます。