ファンダメンタルズから見た日経平均株価の現在位置

 まず、先週後半から急変動に見舞われている日経平均株価ですが、現在の立ち位置をファンダメンタルズから評価しておきたいと思います。具体的には、5月8日のレポート(「米国景気の悪化で日経平均株価はどのくらい下がるのか」)で紹介した日経平均株価の推計式を使って、今の株価水準が説明可能かどうかを見ておきましょう。

 5月8日のレポートで示した推計式は図表1の通りです。説明変数には、景気を表す「景気動向指数(CI一致指数)。マーケット指標として、日本の10年金利とドル/円相場、連動性の強いニューヨークダウ工業株30種平均(NYダウ)を設定し、いずれのパラメーターも有意であることが確認できます。

<図表1 日経平均株価の推計結果>

(出所)日本銀行、内閣府、Bloombergなどの資料より、楽天証券経済研究所が作成

 これを使って試算すると、NYダウが3万8,000ドル、為替が1ドル140円になった場合の日経平均株価が3万5,300円(3万3,800~3万6,800円)となりますので、現在(8月7日前場引け値)の3万5,464円は、おおむねファンダメンタルズで説明できる範囲内の株価水準だといえそうです(図表2)。

<図表2 日経平均株価の先行きシミュレーション>

(出所)日本銀行、内閣府、Bloombergなどの資料より、楽天証券経済研究所が作成

 もし、経済環境や為替水準が今と比べて今後も大きく変わらないとすれば、多少の振れは伴いつつも3万5,000円近辺でいったん値固めし、徐々に回復に向かう、というシナリオが想定できます。ただ、最大の不確定要素は、米国景気の先行きです。米国が景気後退入りとなれば、その深さや長さにもよりますが、日経平均株価の調整は長期化する可能性があります。