2024年上期の抗がん剤売上高は6割増、米国でフルキンチニブが好調

現地コード 銘柄名
00013

和黄医薬中国

(ハチメッド・チャイナ)

株価 情報種類

30.25HKD
(8/1現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 香港の有力コングロマリット長江和記実業(00001)傘下の医薬品メーカー、和黄医薬中国の2024年6月中間決算は、市場向けの製品売上高が前年同期比64%の伸びを記録した(恒常為替レート=CERベース)。主に米国でのフルキンチニブの販売好調が背景。4-6月期の売上高は前四半期比で60%増の7,800万米ドルだった。腫瘍・免疫系治療薬(O/I)の連結売上高は6月中間期に1億6,800万米ドルと、経営陣が示した通期ガイダンス(3億-4億米ドル)通りのペース。欧州・日本でのフルキンチニブの商用化と承認の取得に伴い、武田製薬からのマイルストーン(進捗(しんちょく)状況に応じた支払金)の受け取りが見込めることから、経営陣はガイダンスの上限を達成するとの楽観見通しを示している。

 抗がん剤製品の6月中間期の売上高は前年同期比59%増の1億2,800万米ドル(CERベースでは64%増)と、BOCIの予想通りの水準だった。初期段階にあるフルキンチニブの売上高が4,300万米ドルを記録し、米国(2023年11月に発売)での旺盛な需要を示した。メーカー各社を合計した米国でのフルキンチニブ総売上高は4-6月に前四半期比50%増の7,800万米ドル。BOCIによれば、2024年後半にはEU(欧州連合)と日本で発売される予定という。中間期にはまた、フルキンチニブだけでなく、同社の全ての製品が市場競争に直面する中で、2桁の売り上げ成長を達成している(CERベース)。

 6月中間期の純利益は2,600万米ドル。研究開発費は前年同期の1億4,500万米ドルから9,500万米ドルに縮小したが、これは主に中国以外のチームの戦略的再構築とプロジェクトごとの優先順位付けが背景。下期の研究開発投資は上期を上回るとみられ、通期ではほぼ前年並みとなる可能性が高い。6月末現在、同社のキャッシュポジション(手元流動性)は8億米ドル強という高水準にある。

 一方、胃がんの2次治療を適応症とするフルキンチニブの新薬承認申請(NDA)は、2023年4月に中国の医薬品評価センター(CDE)に受理された。「FRUTIGA」(医薬品名)のフェーズ3試験に基づくNDAで、治験ではプラセボ(偽薬)群と比べた全生存期間(OS)の相対的な長さが確認される半面、統計学的有意差は見られなかった。ただ、これは治療後療法の不均衡によるもので、プラセボ群において後続療法を受けた被験者が20%多かったことが影響したもよう。同社はOSの数値的増加を指し示す追加資料をCDEに提出済み。同社によれば、8月か9月にはNDA審査の結果が明らかになる見通しという。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式で、WACC(加重平均資本コスト)は11.4%、永久成長率は4.0%を適用し、目標株価を設定。同社の香港上場株と米上場株(ティッカーHCM)の先行きに対して、いずれも強気見通しを継続した。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、製品売り上げの鈍化や、臨床あるいは規制上の進捗の遅れや失敗、主要なパートナーシップの破綻などの可能性を挙げている。