2024年上期は30%前後の増収率、TAVRの成長鈍化で下振れか

現地コード 銘柄名
09996

沛嘉医療

(ペイジャ・メディカル)

株価 情報種類

2.57HKD
(7/26現在)

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 インターベンション(カテーテル治療術)用製品の開発製造を手掛ける沛嘉医療は7月25日、未監査の業務統計を発表。2024年6月中間期の売上高が2億9,000万-3億1,000万元(前年同期比28.9-37.8%増)となる見通しを示した。この数字はBOCIの予想を下回る。一方、同日には、パートナー企業のJenaValveが米エドワーズライフサイエンスによる買収に合意したとの情報が伝わり、BD(ビジネスデベロップメント:新事業開発)分野における優れた手腕が証明された。経営陣が示した2024年のガイダンスは、TAVR(経カテーテル的大動脈弁置換術)市場での23-27%のシェア獲得と、神経(ニューロ)インターベンション業務の前年比35-45%の成長および黒字転換。さらに、2026年には会社全体で損益均衡を目指す。TAVR市場全体の成長鈍化や第1・第2世代製品の出荷価格引き下げを反映し、BOCIは短期から長期の収益成長見通しを下方修正。目標株価を大幅に引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続した。

 上期の増収率は前年同期比28.9-37.8%。TAVRの平均販売価格の低下により、BOCIの予想を下回った。経営陣によれば、売上構成比はTAVR業務が約4割で、神経インターベンション業務が残り約6割。国内のTAVR施術件数は約40%増の約1,750件と、BOCIの予想通りだったが、新製品の投入に先立つ価格戦略として、第1・第2世代を値下げしたことが響き、部門売上高は20%強にとどまった。ただ、経営陣は下期から2025年にかけ、平均価格は安定的に推移するとみている。一方の神経インターベンション業務は上期に45%増収。集中調達制度が影響する中で、高成長を維持した。

 TAVR業界のグローバルリーダー、米エドワーズライフサイエンスによる買収が決まったJenaValveは、沛嘉医療が株式1.91%を持つパートナー。沛嘉医療はJenaValveが開発したトリロジー心臓弁システム「TaurusTrio」の中国での独占開発権を保有する。買収完了後、沛嘉医療には1億元近い投資収益と将来的なJenaValveへの支払義務の免除という恩恵が及ぶ見通し。中国では1月に「TaurusTrio」の患者登録が完了し、早ければ2025年下期にも承認される見込み。米国でも2025年の承認が予想されている。

 BOCIは同社が保有する総合的なパイプライン(製品候補群)を前向きに評価しながらも、医療費支払方式の見直しや業界への監督強化がTAVRの成長の足かせになり続けているとの見解。2024-2025年は新製品発売に先立ち、経カテーテル弁製品の商用化を着実に進めるための過渡期に当たるとみる。また、海外同業者との競争激化などを反映し、2024-2026年の予想売上高を下方修正。集中調達制度や医療予算の管理強化による影響を考慮し、ターミナルバリュー(残存価値)伸び率を3%から2%に下方修正し、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく同社の目標株価を大きく引き上げた。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。