2024年上期決算の下押しは限定的、賃料収入の堅調と財務の健全性を評価
現地コード | 銘柄名 |
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01109 |
華潤置地 (チャイナ・リソーシズ・ランド) |
株価 | 情報種類 |
25.25HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国政府系の不動産デベロッパー、華潤置地の2024年6月中間決算について、BOCIは前年同期比10%台後半の増収を予想し、不動産開発収入と経常収入(主にショッピングモールの賃料収入)がいずれも1桁台後半の伸びを示すとみている。不動産開発収入に関しては、23年末時点で2,841億元に上った未計上収入が寄与するとの見方。賃料収入はREIT(不動産投資信託)への資産注入の影響で、2桁増だった業務統計をやや下回る可能性が高いとした。また、不動産不況が続く中、物件在庫に絡む減損損失などの影響で、開発部門の粗利益率は2023年通期の約20%から15%へ低下すると予想。こうした要因を考慮し、中間期のコア純利益が約5%減少する見通しを示した。利益率に関する想定値の引き下げを受け、2024-26年の予想EPS(1株当たり利益)を7.8-12.7%減額修正し、目標株価を引き下げながらも、同社の力強い経常収益と強固な財務ポジションを高く評価している。
6月中間期の物件成約額は1,247億元。前年同期比で26.7%減少したが、それでも同業銘柄の大半をアウトパフォームした。6月単月では前年同月比19.0%増と、プラス成長を確保した数少ないケースとなった。同社は2024年通期の分譲対象物件について5,308億元との見通しを示しているが、これは期中の新規取得用地を含む数字。上期の慎重な土地取得状況を見れば、実際には下回る可能性がある。それでも前年同期実績の低下もあり、下期には成約額の減少幅が縮小するとみられる。
上期の新規の土地取得額は前年同期比75%減の総額256億元(権益換算では183億元)にとどまったが、業界全体が低調な中、デベロッパー別で3位の金額だった(CRIC調べ)。BOCIによれば、土地代金支払い後の営業キャッシュフローは小幅のマイナスとなる見込み。純負債比率は30%前後を維持する見通しという。
投資不動産の賃料収入は、上期に前年同期比16.5%増。ただ、一部物件がREITに注入されたことで、中間期の連結賃料収入の伸びは10%を下回る可能性がある。傘下のショッピングモールの小売売上高について、経営陣は上期に21%増を見込むが(既存店売上高は6%増)、BOCIはリサーチの結果、6月単月の数字は弱かったと報告。同月の既存店売上高が小幅に減少する可能性を指摘している。
BOCIは予想粗利益率の下方修正に伴い、予想NAV(純資産価値)を7.6%減額した。現在株価は2024年予想PBR(株価純資産倍率)で0.6倍の水準にあり、予想NAVに対するディスカウント率は38.8%に上ると指摘。力強い経常収入や強固な財務ポジションを考慮すれば、現在株価のバリュエーションは相対的に低水準にあるとし、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。
一方、レーティング面の潜在リスク要因として、BOCIは中国不動産市場の回復が予想以上に鈍いペースとなる可能性を挙げている。