世界スマホ市場の復調で業績回復へ、AIスマホや運転支援システムの発展が追い風
現地コード | 銘柄名 |
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02382 |
舜宇光学科技集団 (サニー・オプティカル・テクノロジー) |
株価 | 情報種類 |
52.30HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国の光学部品大手、舜宇光学科技の2024年6月中間決算について、BOCIは同業銘柄とほぼ同様に、売上高と利益率の回復を予想している。ハイエンド機種市場の復調と低価格機種の在庫補充を受けた携帯端末用のレンズセット(HLS)とカメラモジュール(HCM)の出荷増が背景。収益予想の上方修正に加え、AI対応型デバイスの需要拡大、市場シェアの上昇、先進運転支援システムにけん引された車載レンズセット(VLS)の需要増により、7-9月期も同社に対する再評価が続く見通しを示した。
BOCIは2024年6月中間期の予想売上高と純利益を3%、1%増額修正した。主力のHLS、HCM、VLSの年初からの出荷増と、同業銘柄の採算性の改善が理由。BOCIが設定した上期の予想売上高と純利益は市場コンセンサス予想を6%、12%上回る水準にある。
同業銘柄では、香港上場のQテクノロジー(01478)が、6月中間期に前年同期比400-500%の増益となる見通しを発表済み。カメラモジュールの出荷増(前年同期比30%増、前期比8%増)と設備稼働率の改善、製品構成の優良化が理由という。台湾の大立光電(Largan Precision)の4-6月期決算も前年同期比34%増収、22%増益と好調。同社はスマートフォン全体の出荷見通しを控えめに見る半面、自社の設備稼働率やAIスマホの需要増、ハイエンド機種のアップグレードに関して楽観見通しを示している。BOCIは舜宇光学科技の中間決算に関しても、同様の収益改善が期待できるとの見方。経営陣が3月に示したガイダンスを上回るとみている。
品目別に見ると、HLSの出荷個数は上期に前年同期比24%増(前期比では4%減)。世界的なスマホ出荷の回復と、年初からの中・高価格帯のアンドロイド機種の好調が寄与した。BOCIは下期には、「iPhone16」やAI対応のアンドロイド機種の出荷上振れが追い風になるとみる。一方、HCMの上期の出荷個数は前年同期比14%増(前期比4%減)。4-6月期の出荷は低調だったが、製品構成は改善した。
また、VLSの上期の出荷個数は前年同期比13%増(前期比22%増)。BOCIは新エネルギー車への運転支援システムの導入加速やロボタクシー・サービスの始動を受け、2024年通期の出荷伸び率が経営陣のガイダンス(10%増)を上回る可能性を指摘。2025年以降はさらに加速する見通しを示している。また、2025年以降の成長けん引役として、XR(クロスリアリティ)デバイスの浸透を挙げている。
年初からの出荷状況の改善を受け、BOCIは2024年、2025年の予想EPS(1株当たり利益)を1%、2%増額修正。2025年予想PER(株価収益率)24倍をベースとする目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。レーティング面での潜在リスク要因としては、ハイスペックスマホの需要下振れや、市場シェアの拡大ペースの鈍化、価格競争の発生、マクロ経済の下押しなどの可能性を挙げている。