日本の株価に加え、物価も賃金も地価も割安に

 日本株がバブル相場だった1989年と今では、日本企業の財務内容、収益力、ビジネスモデル、ガバナンスがまったく異なります。日本株のPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)は当時に比べて低く、配当利回りは高くなりました。現在の日本株は当時と比べて、格段に割安になったと判断しています。

 1989年当時、日本の株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して極めて「高い」水準にありました。東京の生活費は世界一高く、日本人の賃金は国際比較で極めて高いといわれていました。株価も不動産も、PERやイールドで説明できない高値にありました。

 今は、その逆です。日本の株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して「割安」になっていると思います。割安な株価と、経営改革が評価されて、日経平均は5万円に向けて上昇すると予想しています。

日経平均(年次推移):1973~2024年(7月3日まで)

出所:グラフは日経平均株価、QUICKより楽天証券経済研究所が作成。予想PERは東京証券取引所の平均

日経平均が2029年までに5万円を超えると予想する根拠

 私は、平成の構造改革で投資価値が高くなった日本株は、令和時代にさらに飛躍すると予想しています。日経平均は、5年以内に5万円を超えると予想しています。EPS(1株当たり利益)の増加が、日経平均の上昇をけん引すると予想しています。

 前提条件ですが、楽天証券経済研究所では、東京証券取引所上場企業のEPS(加重平均)が年率5.9%、5年で33.2%増加すると予想しています。

 それにより、TOPIX(東証株価指数)が5年で33.2%上昇、日経平均もそれに連動することを前提としています。日経平均の現在の水準が約4万円です。そこから33.2%上昇すると、5万円を超えていく予想となります。

 EPSを増加させるドライバーが3つあります。

【1】海外事業の利益成長
【2】インフレ
【3】自社株買い

 の3つです。この3つを合わせて、EPSは年率平均5.9%、増加すると予想しています。

東証上場企業のEPS増加要因

出所:各種資料より楽天証券経済研究所が予想