投資初心者がついやりがちな「短期投資」から「長期保有」への切り替えとは

 株式投資の投資期間はいろいろありますが、例えば1週間~1カ月程度保有して、ある程度株価が上昇したら売却しよう、という「短期投資」をしている個人投資家の方も多いと思います。

 特に信用取引の場合は、6カ月という期間が決まっていますから(制度信用取引の場合)、おのずと投資期間は短くなります。

 しかし、1週間~1カ月程度の保有で利益を見込んでいたものの、株価が下がってしまうことはよくあります。このとき「短期投資」から「長期保有」に無意識のうちに切り替えてしまう個人投資家が多いのです。

 つまり、1カ月程度の保有で利益を上げようと思ったが逆に株価が下がったため、保有期間を延長して株価が上昇して利益となるのを待とう、という戦略です。

「短期投資」から「長期保有」の切り替えこそが大きな損失の元凶に

 ところがこの「短期投資」から「長期保有」への切り替えこそ、個人投資家が大きな損失を被ってしまう元凶になっているのです。

 「短期投資」から「長期保有」への切り替えをすると、得てして次のようなことが起こります。

  • 1カ月程度で20%くらい株価が上がったら売ろうと思い、1株1,000円で1,000株購入
  • ところが1カ月保有したところ株価が900円に下がってしまった。売ると損失になってしまうため、もう少し保有を続けて株価が上昇するのを待つことにする
  • しかし株価は上昇するどころか下落を続け、結局300円になってしまった。もうどうすることもできず、塩漬け株として放置する羽目に

 ここで問題なのが、「長期保有」に切り替えた動機なのです。1カ月程度の保有で利益を得るつもりが、売ると損失になってしまう。それはいやだから持ち続けよう、というように、消極的な動機であることがお分かりいただけるでしょうか。

「短期投資」から「長期保有」への切り替えが失敗しやすい理由

 実は、「短期投資」から「長期保有」への切り替えが失敗しやすい理由があります。それは、短期投資で短期間での値上がり益を狙う際、どうしても足元で株価が大きく上昇しているものを買ってしまいがちだからです。

 もし株価が下がり続けている株であれば、長期保有覚悟で買い向かうことはあるかもしれませんが、短期的な利益を狙って買うことは少ないはずです。

 そうではなく、株価が足元で上がり続けて、「この流れに乗ればさらに株価が上昇して短期間で利益を得られる!」と思って飛びついてしまうことが多いのです。

 しかし短期間に株価が大きく上昇している銘柄に飛び乗って、その後程なくして株価が天井を付けて下げに転じたら、その株を持てば持つほど株価が下がっていってしまいます。

 テーマ株など株価が急騰している銘柄に飛び乗ったら、そのとたんに株価がストップ安になりその後大暴落…なんてことも決して珍しくありません。

失敗しないためにはどうしたらよいのか?

 では、「短期投資」で失敗しないためにはどうしたらよいのでしょうか。実は、「短期投資」を「長期保有」に切り替える時点ですでに失敗していると言っても過言ではありません。

「短期投資」を「長期保有」に切り替えているということは、損切りができていないことに他なりません。買った株の株価がどこまで下がったら損切りするかというルールがないか、もしくは損切りそのものをしたくない、と思っているわけです。

 しかし、損切りをせず保有を続ける結果、さらに株価が大きく下がって塩漬け株をつくってしまうというのが個人投資家の典型的な失敗例ですから、そうならないようにする必要があります。

 特に「短期投資」の場合は、損切りのルールをしっかりと決め、それを順守しないと、あっという間に塩漬け株のオンパレードとなってしまうでしょう。

 なお、「短期投資」のつもりで買った株が好業績発表などで予想外に強い動きとなり、含み益が積み上がっているような場合は、「長期保有」に切り替えてもよいと思います。この場合も、どうなったら売却するかはあらかじめ決めておくことをお勧めします。

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