二つの不安
米国株が強いことが日本株の下値を支えています。ただし、二つ、不安があります。
【1】生成AIブームいつまで?
生成AIが世界中のビジネスを変革することへの熱狂が、今の米国株をけん引しています。「生成AIが世界を変える」ことは、私も確信しています。ただし、それにしても、関連株の上昇ピッチはやや速すぎると思います。
エヌビディアの時価総額は約508兆円、これに対して東京証券取引所(東証)上場株の時価総額合計は約966兆円です。つまり、エヌビディア1社で、東京証券取引所時価総額の半分以上に相当します。
そのエヌビディアは、今年に入って株価が2倍以上に上昇しています。これだけの超大型株が、小型株のように急騰する時は、過去の経験則からは相場の過熱を警戒した方がよいと思われます。
【2】日本の企業業績モメンタムが低下
前期(2024年3月期)非常に好調だった東証プライムの企業業績は、今期は伸びが鈍化する見込みです。会社予想の集計では、微減益と予想。前期、非常に好調だった自動車産業にブレーキがかかります。
前期は、半導体不足の解消による生産回復・リオープンによる販売回復・円安に、米国でのハイブリッド車ブームも重なり、トヨタなど自動車産業の利益が高水準でした。今期は、その反動で減益となります。
気になるのは、自動車の認証不正問題です。国交省からは、国連の基準にも違反しているとの指摘があります。日本の自動車各社が、欧米でもペナルティを課せられると、ダメージがさらに拡大します。
東証プライム上昇主要841社の連結純利益(前期比)
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日本株の投資戦略
先日のレポートで、日経平均が5年以内に5万円まで上昇する予想をお伝えしました。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいとの見方は変わりません。
ただし、短期的には、日経平均がスピード調整する可能性に注意が必要と考えています。少しシートベルトを締め直した方がよい状況と考えています。
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2024年6月4日:日経平均5万円、5年以内に達成と予想する理由(窪田真之)