7月見通し
材料面から見た7月見通し
このように6月の急騰は月初のSECの強硬姿勢からの反発という性格があり、さらにここから上を目指していくにはやや力不足と考える。特に、3万~4万ドルの水準は2021~2022年に長く滞空したエリアであり、新値を更新する度に塩漬けになっていたロングポジションの「やれやれ売り」で上値を重くしそうだ。
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今回、ブラックロックを手始めに、ドイツ銀行、フィデリティ、シタデル、チャールズシュワブ、クレディ・アグリコル、HSBCとそうそうたるグッドネームが暗号資産ビジネスに参入してきた。
ただ、金融機関が機関投資家参入のハードルを下げたところで、投資家の需要が伴わなければ実際の買いにつながらない。需要面で重要となる米金融政策は、最終コーナーを回り始めたとはいえ、まだ引き締め局面で、このままブーム的な上昇につながると考えるのは少し気が早いと考える。
ただ、ブラックロックのETFが8月にも承認される可能性を指摘する声もある。30日にWSJはSECが同社の申請を不十分として差し戻したと報じ、一時BTCが急落した。しかし、一部ではこれは承認に向けた一歩だと評価する声すら聞こえる。
いずれにせよ、少なくとも7月中は結論が出ないため、期待感で値を上げていき、仮に否認となれば急落する、そうした展開が予想される。では、仮に承認された場合はいったんは大きく上昇するも、現在の金融引き締めが終わり切っていない段階ではまだ十分な買いが集まらずSell the Fact気味に失速するのではないかと考えている。
2021年10月の先物ETF承認時も、承認までは相場は上昇したが、翌月のテーパリング開始で下降トレンドが始まっている。
すなわち、7月のBTC相場はETFへの期待感で底堅く推移しそうだが、金融緩和に転じるほどの経済指標の悪化がない限り、大きな上昇は見込めないか。
テクニカル面もあわせた7月見通し
BTC/JPY パターン分析
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BTC/USD パターン分析
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テクニカルで見ると、BTCは円建てで3カ月続いたレンジを上抜け、ドル建てでは下降チャネルを上抜け、上昇フラッグの形が完成。いずれも上値余地を探る展開となっている。このレンジ上抜けによる上昇は一服しているが、トレンド系のテクニカル指標は上昇トレンドの継続を示唆している。
BTCドミナンス(時価総額に占めるBTCの割合)
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一方で、3万~4万ドルの水準は2021年1月~2022年6月の18カ月のうち実に12カ月滞空した水準。通常、こうしたレンジを上抜けすると相場が走りがちだが、今回に関しては当時から塩漬けになっているロングポジションの「やれやれ売り」をこなしていく必要があり、思ったほど相場が走らないことが特徴的だ。
BTC月別騰落一覧
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アノマリー的には7月は8勝4敗、勝率6割強と強めの月。過去12年で陰線から陽線に転じた30回のうち陽線が2回続いたのは19回と6割強。アノマリー的には7月は強め、続く8月9月は弱めと出ている。
まとめると、7月のBTC相場は材料的にもテクニカル的にももう少し上値余地がありそうだ。