5年経過後含み益が生じている場合はどうするか?
もちろん、NISA口座で保有を続けた結果、含み益が生じているというケースも十分に考えられます。この場合はどうすればよいでしょうか?
結論から言えば、さらに株価が上昇しそうであれば、さらなる非課税メリットを狙ってNISA口座にロールオーバーするという戦略が考えられます。
この「さらに株価が上昇しそうかどうか」というのは、例えば「長期のトレンドが上昇トレンドかどうか(株価が上向きの12カ月移動平均線より上に位置しているかどうか)」で判断すればよいと思いますが、結局のところ実際に上昇するのかどうかは分かりませんので、割り切って決めるしかありません。
配当利回り狙いで長期保有している銘柄についても、ロールオーバーでよいでしょう。
(まとめ)制度に振り回されてはいけない-自身の運用スタイルを大事に
NISAは、「バイ・アンド・ホールド」の長期投資運用を前提とした制度です。一方、個人投資家の運用スタイルは長期投資からデイトレードをはじめとした短期投資までさまざまです。
株式投資の目標は、資産を増やすことにあります。でも、目標は同じでも、そこに至るまでの道はいくつもある、これが株式投資の面白いところです。筆者が当コラムで提唱している方法以外にも、株式投資で資産を増やす方法はいくつもあります。
筆者は、数多くの個人投資家の方と接してきましたが、株式投資で成功している個人投資家には共通した特徴があります。それは、「自分自身の投資スタイルを確立している」ということです。
もし、ご自身の投資スタイルがバイ・アンド・ホールドの長期投資であれば、NISAは非常に魅力的な制度です。
一方、投資スタイルが短期投資やトレンドに従った売買という場合は、NISAとの親和性は低くなります。このような方が無理にNISAに適したスタイルであるバイ・アンド・ホールドの長期投資に合わせてしまうと、せっかく確立した投資スタイルがぐらついてしまいます。
投資スタイルによってはメリットよりもデメリットの方が強く出てしまう恐れがあるのがNISAです。
税金面のメリットにこだわり過ぎて、自らが築き上げた投資スタイルを崩すことは、かえって失敗の要因にもなりかねません。
くれぐれも、自身の投資スタイルを崩さない範囲でNISAを活用するようにしてください。
なお、2024年からNISA制度は大きく変わることになっていますが、本コラムでは改正前の現行制度でご説明しました。