ウクライナ危機が去ればインフレ危機も去る?

 ウクライナ・ショックとインフレ・ショックは、密接に結びついています。ロシアによるウクライナ侵攻を受けたエネルギーおよび食品価格の急騰が、米インフレをさらに高騰させ、米金融引き締め懸念を高めているからです。

 ウクライナ危機が深刻化すればインフレも深刻化し、ウクライナ危機が去ればインフレ危機も低下する可能性があります。

米インフレ率(CPI総合指数およびコア指数の前年比上昇率)の推移:2020年1月~2022年3月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 CPI総合指数の上昇率は3月になっても前年比+8.5%と拡大が続いています。そこには、ウクライナ危機によるエネルギーおよび食品価格の上昇が響いています。

 一方、エネルギーおよび食品を除くコア・インフレ率にはやや鈍化の兆しも出ています。コア・インフレ率の前年比上昇率は3月で6.5%と高いものの、前月比で見ると0.3%まで縮小しています。コア・インフレ率の前月比は1月+0.6%、2月+0.5%、3月+0.3%と鈍化してきています。ウクライナ危機の影響が縮小すれば、米インフレは沈静に向かうとの期待が出ています。

 ウクライナ危機の先行きは見通せませんが、一時1バレル130ドルまで上昇したWTI原油先物(期近)が足元106ドルまで反落していることは、安心感につながっています。ただ、今後のウクライナ・ロシア情勢の進展次第では再び急騰するリスクも残っており、予断を許しません。

WTI原油先物(期近):2020年1月2日~2022年4月15日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成