インフレは「隠れた税金」!市場の大騒ぎが始まる?

 FRBは何年も前からインフレについてうそをついていた。1980年代にFRBがCPI(消費者物価指数)インフレ率の測定に使用していた加重方法を現在も使用していたとしたら、米国のCPIインフレ率は報道されている7%ではなく、15%に近い値になる。

米国のCPI(消費者物価指数)2022年1月12日現在

出所:ShadowStats

 物価が上がっている要因は、中銀による資金量の増加、政府介入の増加(これが供給網の問題やさまざまな行き詰まりの一因となっている)、ESG(環境・社会・企業統治)の狂気、人々が働かないようにするための給付金の支給、その結果としての労働力の不足、巨額の財政赤字、貿易の禁止などだ。

 米国が7%のインフレになっているにもかかわらず、物価の番人であるFRBはマイナス6%という大幅な実質マイナス金利を続けながらのんきなことを言っている。それに対して、ケンタッキー州の共和党上院議員ランド・ポールは先週、インフレの進行とそれが中低所得家庭や中小企業に及ぼす厄介な影響に関する厳しい報告書を発表した。

 上院の中小企業・起業家委員会の委員を務めるポールは、「隠れた税金」と題した18ページの報告書の中で、消費者物価の7%上昇(40年ぶりの高値)を「議会による過剰なコロナウイルス救済支出」のせいだと非難している。ポールはまた物価の上昇は 「さらにひどくなる一方だ 」と警告している。

 ジョー・バイデンは、食料を含むアメリカ人が生きていくために必要なあらゆるものの価格が上昇し、急速に「インフレ大統領」として知られるようになった。

米国のインフレーション

出所:ヴィジュアルキャピタリスト

 先日、GMOのジェレミー・グランサムは、『市場の大騒ぎが始まる(終了間近の)第一次米国バブルの祭典:住宅、株式、債券、コモディティ』というレポートでFRBの金融政策を批判した。以下はその抜粋である。

「FRBは何を学んできたのだろうか。全く何もない、あるいはそのように見えるだろう。無能を許し、忘れ、明白な不正行為さえも罰することができないのだ。(人口30万人のアイスランドは26人の銀行家を刑務所に送ったが、人口3億人の米国はゼロだ。ゼロ!)」

「バブル後期の最も重要かつ最も定義しにくい性質は、狂気の投資家行動という触発的な特徴にある。しかし、この2年半の間に、特にミーム株、EV関連株、暗号通貨、NFTなどで2000年をも上回るほどのクレイジーな投資家行動が見られたことは間違いないだろう」

「これまで米国では25年間に3つの大きな資産バブルが発生しており、これは通常よりはるかに多い。これは決して不運な出来事ではなく、むしろボルカー政権以降のハト派的なFRBのボスがもたらした直接的な結果であると考えている」

「一体なぜFRBはこうした出来事を許しただけでなく、実際に奨励し、促進する必要があったのかを問うには良い機会である。事実、彼らは資産バブルを「理解」していなかったし、今日もそうであるように見える」

「当時も今も私が危険なほど無能だと考えているアラン・グリーンスパンは、1990年代後半に当時、米国史上最大の株式バブルの形成にチアリーダーとして参加し、その代償を支払ったことは有名である」

「日本の事例では、一つのことが明確になった:株式バブルは危険だが、価値の喪失は、富の効果によってショックを引き起こし、コントロールできなくなる可能性があるからだ、そしてそれは1929年以降の低迷の理由の一部であった、住宅バブルはもっと危険であり、その両方が同時に発生するのはもっと危険である。日本における二重のバブルの経済的帰結は、間違いなく今も続いている。図表1は、株式市場も土地も1989年のピークをまだ回復していないことを示している!」

図表1 日経平均株価と日本の都市部の商業用不動産、1980年から今日まで

出所:ゼロヘッジ

(出所:『市場の大騒ぎが始まる (終了間近の)第一次米国バブルの祭典:住宅、株式、債券、コモディティ』(ジェレミー・グランサム))

 バイデン大統領が指名した新しいFRBの副議長・理事候補3氏は、「バイデン氏が最近理事に指名した人々は、本来FRBの仕事ではない進歩派の政策推進を優先し、物価のことはそれほど気にかけていないように思われる」(ウォールストリートジャーナル)と報道されているように、環境問題や社会問題の専門家である。

 グリーンフレーションは続くだろう。いずれにせよ、この政権は単に能力がないだけなので、物価はすぐには下がらないと思われる。