2022年の春か夏に景気後退は起きるのか?
「マクロ経済の予測ははっきり言って難しい。私の直感では(次の景気後退は)2022年の春か夏ごろ、遅くとも2023年までに起きるのではないかと思う」
イーロン・マスクのツイート
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昨年末にテスラのCEOイーロン・マスクが上記のようにツイートした。明確な理由は明示されてはいないものの、2023年までに米国は景気後退に入る可能性があると明言した。米国株式市場は10年以上にわたる強気相場を演じ続けている。
昨年、S&P500種指数は年間で3割近く上昇、ナスダックも20%を超えるリターンとなった。向かうところ敵なしとも言える相場であるが、懸念材料は少なくはない。
S&P500種指数とナスダックの2021年1月からの推移
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コロナウイルスの変異株の感染拡大、エネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱を背景としたインフレ、そして株式市場の高バリュエーション、そこに今年はFRB(米連邦準備制度理事会)による「ターボテーパー」が重なる。マスク氏が昨年末に自社株の売却を急いだのは、こうした相場の変化を感じとっていたからなのだろうか。
直近のマーケットの特徴の一つはアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、グーグル(GOOGL)など一部の銘柄への依存度がこれまでにないほどに高まっていることであろう。
ゴールドマン・サックスによると、昨年4月以降のリターンのうち、前述のアップル、マイクロソフト、グーグルに加え、エヌビディア(NVDA)、テスラ(TSLA)のわずか5株が全体のリターンの35%を担っているという。
5銘柄でS&P500種指数のリターンの3割以上を占めている(米国株は7銘柄の成績)
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市場値幅が急速に縮小している
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直近では、市場の値幅が極端に縮小している。ゴールドマンによると、値幅が急激に縮小した後、株式は歴史的に平均よりも弱いリターンと深いドローダウンを示してきたと指摘している。
こうした動きは市場の脆弱さを示しており、コロナウイルスの変異株の感染再拡大やFRBによるタカ派的な政策はS&P500種指数を下押しする可能性があるとしている。