水素関連株は一時の熱狂が去り、調整中

 2021年に入り、脱炭素関連株を一斉に買い上げる熱狂はいったん覚めました。

 ただし、折に触れて、脱炭素関連株を買う流れは続いています。機関投資家が、投資基準としてESG(環境・社会的責任・ガバナンス)重視を鮮明にし始めた影響も出ています。世界的に化石燃料ビジネスの比重が高い企業が売られ、脱炭素ビジネスを推進する企業が買われる流れは続いています。

 ただ、そうした流れの中でも、水素エネルギー関連株はやや人気の圏外になりつつあります。
なぜならば、水素エネルギービジネスは、今はまだ先行投資期だからです。将来のために、たくさんの企業が赤字でも歯をくいしばって、水素事業に投資しているところです。利益を稼ぐビジネスになるのに、まだ5年10年かかるかもしれません。あるいはもっと長くかかるかもしれません。

 水素関連株として株価が大きく上昇し、その後も堅調な値動きを続けているのは、トヨタ自動車(7203)くらいです。昨年12月に発売した燃料電池車新型MIRAIへの期待が強いことに加え、既存のガソリン車事業で高い収益力を有していることが評価されています。

 それ以外の水素関連株は、熱狂が去ってやや調整色が強まっています。

日本の水素関連6社合成株価と日経平均の動き比較:2020年11月3日~2021年8月2日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成。2020年11月3日の値を100として指数化。水素関連6社は、トヨタ自動車・ENEOS HD・川崎重工業・岩谷産業・トーヨーカネツ・三菱化工機