7:米国株式のカギは原点回帰の「企業調査力」

 米国株式は元来、市場全体の新陳代謝が活発で、インデックス投資でも十分なリターンが期待できることから、「アクティブが勝ちにくい」資産クラスの代表格であるとされてきました。

 ところが昨年は、入念な企業調査に裏付けされたアクティブファンドが底力を発揮し、市場平均を大きく上回るリターンを確保できました。世の中の関心がインデックス=市場全体に注がれていたからこそ、アライアンス・バーンスタインや農林中金バリューインベストメンツのような、従来から企業調査力に定評のある運用会社の運用手腕が発揮されました。

 ここでいう企業調査力とは、必ずしも「テンバガー」銘柄を当てたり、景気感応度の高い話題の銘柄を組み入れたりすることではありません。実際に、前述した2社の特徴は、大型株を中心としながら、景気や市場環境の影響を受けにくい、付加価値の高い企業を徹底的に選定していく点にあります。この中には、誰もが知っているような超有名企業もあれば、日本ではまだあまり知られていないような企業もありますが、過度な流動性リスクを負わないので、安定的に成績を積み上げることができるのです。

8:国内株式のカギは「ユニバースの広さ」

 国内株式に投資するアクティブファンドは、運用会社と運用担当者の企業調査力に加えて、「投資ユニバースの広さ」も成績の明暗を分けるポイントとなりました。2020年は、いわゆる「コロナ耐性銘柄」の物色が活発だった中、マザーズ銘柄を含む新興企業銘柄や直近のIPO(株式の新規公開)銘柄を上手く組み入れたファンドが好成績を収めました。

 より具体的には、投資ユニバースを広く持ち、投資環境の変化に応じて大型株と中小型株の組入れを機動的に変化させるようなファンドです。前出の「DIAM成長株オープン」や「One国内株オープン」はまさにそのタイプで、コロナ禍でも安定した成績を維持しました。

 米国株式、国内株式ともに2020年は特にグロース株の優位性が際立った年でしたが、特定の銘柄に依存することなく、基本に忠実で、かつ運用方針の透明性が高いアクティブファンドは、2021年以降も十分期待できると考えています。