新型コロナを乗り切る投資信託の戦略は?

 新型コロナウイルスに始まり、新型コロナウイルスに終わった2020年。国内投資信託市場も、さまざまな側面で新型コロナとコロナ相場の影響を受けることとなりました。

 そこで本稿は、2020年の投信市場を振り返るとともに、2021年に向けて注目しておきたいポイントについて見ていきます。

投資信託10の注目ポイント2021
1 コロナ相場を乗り切った「超」優良アクティブに注目
2 20年選手の「超」長寿ファンドをチェック
3 ESG、SDGs、インパクト投資関連ファンドが台頭
4 代替資産としての金の魅力再認識
5 定期分配型は「予想分配金提示型」が主流に
6 テクノロジー株は米国だけにあらず
7 米国株式のカギは原点回帰の「企業調査力」
8 国内株式のカギは「ユニバースの広さ」
9 ファンドマネジャー発信のメッセージに注目
10 低リスクバランス型が脚光浴びる

1:コロナ相場を乗り切った「超」優良アクティブに注目

 2020年は、アクティブファンドの真の運用力が浮き彫りになった年だったと言えるでしょう。優良なファンドは「頭一つ」どころか「二つ、三つ」抜けた好成績を収めた一方、市場の波に上手(うま)く乗れず低位に沈んだファンドも少なくありませんでした。

 なお、株式市場の盛り上がりとともに人気が加速した米国株式については、テスラ、エヌビディア、スクエアなど、株価が急騰した銘柄を組み入れていたことで大きく成績を伸ばしたファンドも目立ちました。ただし、こうした特定の銘柄の影響力が大きく出たファンドは来年、少々割り引いて見た方がよいでしょう。

 そこで、優良ファンドを見極める一つの目安となるのが、楽天証券ファンドスコアです。1年ではなく、3年、5年など、中長期のファンドスコアが安定して高い(5または4)ファンドを絞り込んでいくのがポイントです。

2:20年選手の「超」長寿ファンドをチェック

 また、本数こそ決して多くありませんが、20年以上にわたって安定した成績を収めているファンドは、2020年のコロナ相場でも投資方針が大きくぶれることなく結果を残すことができました。そうした20年以上の運用実績を誇る、優良な「超」長寿アクティブファンドには例えば以下のような銘柄があります。

  1. 米国NASDAQオープンBコース
  2. DIAM成長株オープン
  3. One国内株オープン
  4. 利益還元成長株オープン
  5. MHAM USインカムオープンBコース(為替ヘッジなし)
  6. フィデリティ・アジア株・ファンド

3:ESG、SDGs、インパクト投資関連ファンドが台頭

 新型コロナウイルスの世界的なまん延は、くしくも、環境・社会・ガバナンスの非財務情報を重視するESG投資の概念を広く浸透させました。2020年は、ESG、SDGs(持続可能な世界を実現するための2030年を期限とする国際目標)、インパクト投資に関連したファンドが新たに30本以上設定されました。

 優良ファンドとしての「お墨付き」を得るまでにはもう少し経過観測が必要ですが、一部のファンドはコロナ・ショック以降、MSCIコクサイやMSCIワールドといった代表的なグローバル株式指数と比べ良好な成績を収めています。今のうちに目を付けておいてもよいでしょう。

4:代替資産としての金の魅力再認識

 世界的な金融緩和政策にともなう金利低下で債券の魅力が低下している中、金の相対的な魅力が増しています。

「安いところで買って高いところで売る」のが投資の王道ではありますが、金という資産は、あくまでも分散投資の一つの「パーツ」として捉えた方がよいでしょう。つまり、株式や債券といった伝統的資産の補完としての役割と、運用効率の向上を目的として取り入れる、ということです。「いつ買うか」「いつ売るか」で狼狽(ろうばい)するのではなく、常に保有しておくこと。これこそが、先行き不透明感漂う今の時代に合った投資方法といえるでしょう。

5:定期分配型は「予想分配金提示型」が主流に

アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」を筆頭に、毎決算期末の基準価額が一定水準を上回った場合にのみ分配を行うファンドが人気を集めています。

 基本的に、決算時に分配をするか否かと、具体的な分配金の額は、運用会社の判断に委ねられています。基準価額が1万円を超えているからといって分配金の支払いが確約されるわけではなく、また、実際にいくら支払われるかというのも決算を迎えるまでわかりません。

 しかし、この「予想分配金提示型」のタイプなら、基準価額の水準からおおよその分配額が予想できます。定期的なキャッシュフローのニーズがある方はチェックしてみてもよいでしょう。

6:テクノロジー株は米国だけにあらず

 2020年の世界のマーケットの主役は、何といっても米国のハイテク株でした。2021年以降もGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)に代表されるハイテク企業の動向には世界中の投資家が注目するとみられますが、実は中国も新興のハイテク企業が次々と誕生し、株式市場で注目を集めています。こうした企業は自力で発掘することも、直接投資することも難しいため、テーマ型の投資信託などを通じて投資するとよいでしょう。中国のハイテク企業銘柄を組み入れたファンドには例えば以下のような銘柄があります。

  1. iFreeActive ゲーム&eスポーツ
  2. iFreeActive エドテック
  3. iFreeActive チャイナX

7:米国株式のカギは原点回帰の「企業調査力」

 米国株式は元来、市場全体の新陳代謝が活発で、インデックス投資でも十分なリターンが期待できることから、「アクティブが勝ちにくい」資産クラスの代表格であるとされてきました。

 ところが昨年は、入念な企業調査に裏付けされたアクティブファンドが底力を発揮し、市場平均を大きく上回るリターンを確保できました。世の中の関心がインデックス=市場全体に注がれていたからこそ、アライアンス・バーンスタインや農林中金バリューインベストメンツのような、従来から企業調査力に定評のある運用会社の運用手腕が発揮されました。

 ここでいう企業調査力とは、必ずしも「テンバガー」銘柄を当てたり、景気感応度の高い話題の銘柄を組み入れたりすることではありません。実際に、前述した2社の特徴は、大型株を中心としながら、景気や市場環境の影響を受けにくい、付加価値の高い企業を徹底的に選定していく点にあります。この中には、誰もが知っているような超有名企業もあれば、日本ではまだあまり知られていないような企業もありますが、過度な流動性リスクを負わないので、安定的に成績を積み上げることができるのです。

8:国内株式のカギは「ユニバースの広さ」

 国内株式に投資するアクティブファンドは、運用会社と運用担当者の企業調査力に加えて、「投資ユニバースの広さ」も成績の明暗を分けるポイントとなりました。2020年は、いわゆる「コロナ耐性銘柄」の物色が活発だった中、マザーズ銘柄を含む新興企業銘柄や直近のIPO(株式の新規公開)銘柄を上手く組み入れたファンドが好成績を収めました。

 より具体的には、投資ユニバースを広く持ち、投資環境の変化に応じて大型株と中小型株の組入れを機動的に変化させるようなファンドです。前出の「DIAM成長株オープン」や「One国内株オープン」はまさにそのタイプで、コロナ禍でも安定した成績を維持しました。

 米国株式、国内株式ともに2020年は特にグロース株の優位性が際立った年でしたが、特定の銘柄に依存することなく、基本に忠実で、かつ運用方針の透明性が高いアクティブファンドは、2021年以降も十分期待できると考えています。

9:ファンドマネジャー発信のメッセージに注目

 ファンドマネジャーとは、投資信託の組成・運用をおこなう運用会社に在籍する、いわばプロの運用者です。アクティブファンドの場合は特に、ファンドマネジャーのプロの運用者としての理念がファンドのポートフォリオに色濃く反映され、最終的に運用成績という結果として表れます。投資するファンドを選ぶ際は、「この会社なら、この人なら任せられる」という安心感を得られるかどうかも一つの重要な判断ポイントになります。

 2020年は、動画や運用報告会セミナーなどを通じてファンドマネジャーが直接個人投資家に向けて情報を発信する機会が増えたほか、月次報告書や臨時レポートにファンドマネジャーのコメントを掲載する運用会社も増えたように見受けられました。アクティブファンドで相対的に高い報酬を負担するということはつまり、そのフィーで「ファンドマネジャーを雇う」ことと同義です。動画やセミナーのアーカイブなどは、運用会社のウェブサイトで公開されていることも多いので、ぜひ積極的に活用し、ファンドマネジャーへの理解を深めることに役立ててください。

10:低リスクバランス型が脚光浴びる

 先述した通り、世界的な金融緩和政策にともなう金利低下により、債券は事実上、ポートフォリオの「緩衝材」としての機能も失いつつあります。そこで、債券などの安定資産の代替としてより注目度が高まったのが、低リスクバランスファンドです。

 春先の相場急変時に耐性を示した「投資のソムリエ」は、4,000億円目前まで残高を伸ばしたほか、「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド(愛称:クアトロ)」も、同じく「コロナ・ショックに耐えた」低リスクバランスとして一定の地位を確立しました。

 ポートフォリオの一部にこうしたファンドを取り入れることで、相場急変時に保有資産全体が大きく毀損(きそん)することを防げるほか、「減らしたくない」資産の投資先としても活用できます。