総合商社はビジネスモデルを改善、リスク管理を高度化させてきた

 かつて資源事業に利益構成が偏っていることに危機感を持ち、総合商社各社は、時間をかけて、非資源事業を伸ばしてきました。その成果で、非資源事業の利益が拡大し、高水準の利益を維持しています。

 食品や、海外独立電力事業、消費関連ビジネスなど、世界景気変動の影響を受けにくい事業を意識して増やしてきたので、利益構成が改善しています。資源価格急落でも、収益が堅調なのは、その成果です。

 カントリー・リスクのとり方も、かなり巧妙になってきました。幅広い種類のリスクをとっていますが、特定のリスクを過度にとり過ぎないようなリスク管理をしています。

 三井物産は1970年ころからIJPC(イラン・ジャパン石油化学事業)に巨額の投資を行いました。ところが、1979年のイラン革命、それに続くイラン・イラク戦争の戦禍でIJPCは破たんし、三井物産は財務面で大きなダメージを受けました。このような失敗から学び、投資リスクは分散し、失敗したときの撤退ルールも厳格にしています。