FRBが主導する過剰流動性相場も株高の背景

 世界株高を支えるもう一つの要因は、FRB(米連邦準備制度理事会)が主導してきた金融緩和による「金あまり」とされます。図表2は、金融政策の行方に敏感な日米欧の2年債利回りを上段に示し、下段に日米欧金融当局(日銀、FRB、ECB)のバランスシート(総資産)の推移を示したものです。

 2008年秋の金融危機に続く景気後退に対応するため、日米欧の金融当局は利下げの実施と量的金融緩和策を続けました。2018年はFRBがこうした緩和策を停止したことで長期金利が上昇。世界株式は調整に追い込まれました。トランプ大統領の逆鱗(?)に触れたFRBは、2019年に入ると一転して「予防的利下げ」を3度実施。9月には短期金利上昇を抑制するため、資金供給(量的緩和の一種とされる)を再開しました。

<図表2>世界株高を支える低金利と過剰流動性

出所:Bloombergをもとに楽天証券経済研究所作成(2008年1月1日~2020年1月15日)

 日銀とECBは流動性供給を続けており、日米欧のバランスシート(市場への資金供給)総額は10年で約4倍となりました。米ダラス連銀のカプラン総裁は、「低い政策金利、将来の利上げへのハードルが高いとの認識、当局のバランスシート拡大がリスク資産の価格を押し上げている」と指摘しました(15日)。

 確かに2019年を振り返ると、5月と8月に株価調整があったものの、株式も債券もオルタナティブ(金やREIT)も暦年ベースでプラスリターンとなりました。米国株高は、米中貿易交渉の進展だけでなく、GAFAMの優勢、「過剰流動性」から染み出る投資マネー増加の追い風を受けている点に注目したいと思います。