「配当利回り」も重要
優待投資を始めようと思っている方に、「優待内容の魅力」だけ見て、予想配当利回りを見ない方もいらっしゃいます。予想配当利回りも、必ず見るようにしましょう。配当利回りが高ければ、受け取った配当金で好きなものを買うことができるからです。
優待品が魅力でも配当利回りが低い銘柄は、株主への利益配分が充実しているとはいえません。優待品と配当金の魅力を両方見て判断するのが、合理的です。
上記の表を見ると、オリックス(配当利回り4.2%:12月25日時点)、KDDI(同3.3%)、日本航空(同3.3%)は、優待が魅力的、かつ配当利回りが高い銘柄として、注目できます。配当利回りが1.6%以上ある銘柄のうち、イオン、ビックカメラ、ANAは、配当利回りでもそこそこ評価できます。
ヤマダ電機は配当利回りが2.3%ですが、業績低迷が続いているので、投資は避けた方が良いと判断しています。配当利回りが1%に達していない吉野家、アトムは、優待が魅力でも配当利回りが低く、総合的に評価して株主への利益還元が魅力的な銘柄とは言えません。
なお、配当利回りは確定利回りではなく、業績変動にともなって増えたり減ったりすることには、注意が必要です。
人気トップ10銘柄の業績をチェック
優待銘柄を選ぶ時、「優待内容」「配当利回り」だけで決める方もいますが、株式投資である以上、最低限、足元の業績はチェックしましょう。まず、人気トップ10の前期から今期にかけての連結営業利益の推移を見てください。
※前期・今期とは、イオン・吉野家では、2019年2月期・2020年2月期のこと。ビックカメラでは、2019年8月期・2020年8月期のこと。その他の銘柄では、2019年3月期・2020年3月期のこと。
2・3月優待人気トップ10の連結営業利益:前期実績と今期会社予想
銘柄名 | 前期 ・実績 |
前期比 | 今期 ・会社予想 |
前期比 | |
---|---|---|---|---|---|
イオン | 2,122億円 最高益 |
+0.9% | 2,300億円 最高益 |
+8.4% | |
オリックス | 3,294億円 | ▲2.0% | 3,465億円 市場予想 最高益 |
+5.2% | |
ヤマダ電機 | 278億円 | ▲28.1% | 426億円 | +52.9% | |
ビックカメラ | 229億円 | ▲15.2% | 252億円 | +9.8% | |
ANA HD | 1,650億円 最高益 |
+0.3% | 1,400億円 | ▲15.2% | |
吉野家HD | 1億円 | ▲97.4% | 10億円 | +861.5% | |
KDDI | 1兆137億円 最高益 |
+5.3% | 1兆200億円 最高益 |
+0.6% | |
アトム | 15億円 | ▲31.6% | 16.43億円 | +2.8% | |
三越伊勢丹HD | 292億円 | +19.7% | 300億円 | +2.6% | |
日本航空 | 1,761億円 | +0.9% | 1,700億円 | ▲3.5% | |
出所:各社決算短信より作成。今期の営業利益予想を開示していないオリックスのみ日経クイックコンセンサス予想を使用 |
営業最高益の更新が予想される3社(イオン、オリックス、KDDI)は、長期投資対象として魅力的と考えています。将来的に営業最高益を更新する力があると私が判断している2社(ビックカメラ、ANA)も、長期投資対象として適格と判断しています。
それ以外の5社は、最高益よりかなり低い利益水準にとどまっています。今後、利益が長期的に低迷するリスクのある銘柄は投資を避けるべきと考えています。具体的には、ヤマダ電機への投資はリスクが高いと考えています。
吉野屋HDは、利益水準が落ち込んでいますが、中長期的に回復が期待できると考えていますので、優待狙いで長期投資して良いと判断しています。
アトム、三越伊勢丹HDは、ヤマダ電機と同様、利益水準が低く、長期的に利益が低迷するリスクがあると考えていますので、投資は避けた方が良いと考えています。