大統領選挙(五輪開催)年の株価は高いのか

 2019年も残すところ約3カ月となり、市場は2020年の展望を視野に入れた投資戦略を検討する時期となりました。そこで、2020年が「4年に一度」の大統領選挙年(=五輪開催年)に該当する事実に注目したいと思います。

 図表3では、世界の株式市場をリードする米国株式(S&P500指数)の1970年以降の当該年パフォーマンス(全12回)を抽出し、年初来パフォーマンスを平均化してみました。12回を単純に平均化して振り返ると、「大統領選挙年(五輪開催年)のS&P500指数(配当を除く)の平均騰落率は+6.3%だった」ことがわかりました。

 ただ、米国経済が景気後退入り(もしくは景気後退入りを予兆)して株価の下げが大きかった「リーマンショック時(2008年)を除いた平均騰落率(+11.3%)」や、ITバブル崩壊とその後の景気後退を嫌気した2000年も除く「2000年と2008年を除いた平均騰落率(+13.5%)」を検証すると、「大統領選挙年(五輪開催年)の米国株式は概ね堅調だった」との特徴が浮かび上がります。

 あくまでアノマリー(選挙サイクルをもとにした平均的傾向)に分類できる参考情報ではありますが、新年を見据えた投資戦略を検討する上で注目したいと思います。

図表3:大統領選挙(五輪開催)年は株高傾向?
 

*上記は大統領選挙(五輪開催)年のS&P500指数の月末値推移を平均化して示したものです。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1970年1月1日~2016年12月31日)

 換言すれば、「米国経済が景気後退入りしない=経済成長はソフトランディングする(軟着陸する)」と想定するなら、2000年や2008年の市場実績は参考になりません。米国の経済がソフトランディングする(実質成長率がプラスを維持する)と想定し、2020年に米国株が堅調を維持してリスクオン(リスク選好)ニーズで為替もドル高・円安となるなら、日本株式の堅調を下支える外部環境を期待できそうです。

 図表4は、民間エコノミストによる2019年、2020年、2021年の国(地域)別実質GDP成長率見通しの平均値を示したものです。米国を中心に世界の成長率がプラスを維持するなら、リスク資産を象徴する株式にはプラス要因となります

 貿易摩擦や地政学リスクなど幾多の潜在的リスク要因を乗り越え、株式市場の重石となっている業績下押し圧力が緩和するなら、日本株式も底堅い動きを維持していく可能性が高いと考えています。

図表4:主要国(地域)別の実質GDP成長率見通し<市場予想平均>

*上記は民間エコノミストによる国(地域)別実質GDP成長率見通しの集計平均(市場予想平均)です。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2019年9月25日)

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