米国のテック相場をリードする主力IT銘柄は?
実際、S&P500情報技術(IT)指数の年初来騰落率は+29.2%となっており、S&P500指数(同+19.5%)やナスダック総合指数(同+23.1%)を上回っています(7月3日)。
米国市場では、2018年9月にS&P社が銘柄の所属セクター(業種)変更を発表し注目されました。それまで「情報技術(IT)」に所属していたアルファベットとフェイスブックの2銘柄が「通信サービス」に移され、ネットフリックスが「一般消費財」から「通信サービス」に移行しました。
参考までに、アマゾンは現在も「一般消費財(小売り)」に属しています。こうした変更後、「情報技術(IT)」に属さないアルファベット、フェイスブック、アマゾンが個人情報管理や独占販売の面で批判を浴びてきたのは皮肉です。いずれにせよ、S&P500指数の業種別比率で最大を占めるIT関連株のパフォーマンス好調が米国株式の優勢をリードしてきました。
図表2は、S&P500情報技術指数の上位10銘柄を時価総額の降順で一覧したものです。シリコンバレーを中心に、新興IT企業のなかで企業価値を膨らませてきた顔ぶれがわかります。米国での技術開発や専門人材の圧倒的集積と、これらを成長・拡大に導くキャピタル(資本)がイノベーションの活性化を加速させてきた結果としての顔ぶれと言えるでしょう。
上位銘柄には、ビザやマスターといった、Eコマースの拡大から恩恵を受けやすいクレジットカード企業も含まれています。こうした企業群は、景気循環の波を乗り越えつつ、情報技術の成長に沿い収益を拡大させていくことが期待されています。
図表2では、上位10銘柄のうち9銘柄の年初来株価上昇率が3割~4割となっている点にも注目したいと思います。
<図表2>S&P500情報技術(IT)指数の上位構成銘柄(一覧)
# | ティッカー | 銘柄名 | 時価 総額 |
株価 | 年初来 騰落率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | MSFT | マイクロソフト | 1,053.33 | 137.46 | 35.3 |
2 | AAPL | アップル | 940.51 | 204.41 | 29.6 |
3 | V | ビザ | 353.04 | 176.87 | 34.1 |
4 | MA | マスターカード | 278.93 | 273.08 | 44.8 |
5 | CSCO | シスコシステムズ | 241.78 | 56.48 | 30.3 |
6 | INTC | インテル | 217.22 | 48.52 | 3.4 |
7 | ORCL | オラクル | 196.35 | 58.86 | 30.4 |
8 | ADBE | アドビ | 148.40 | 305.70 | 35.1 |
9 | PYPL | ペイパル・ホールディングス | 138.27 | 117.68 | 39.9 |
10 | ACN | アクセンチュア | 128.52 | 190.97 | 35.4 |
*単位 時価総額:10億ドル 株価:ドル *上記はS&P500 Information Technology Indexの時価総額上位10銘柄を一覧したもの。 出所:楽天証券経済研究所作成(2019/7/3) |