今期は、天災や天候不順の影響がマイナス寄与
2月決算小売業の第3四半期(9-11月期)の決算が出揃いました。10-11月が暖冬だった影響で、国内で衣料品販売が不振でした。その前の6-9月は、大阪北部地震、西日本豪雨のほか、数々の大型台風に見舞われるなど、天候要因が消費にマイナス影響を及ぼしました。
つまり、6月から11月までの天候要因は、小売業にとって逆風だったと言えます。その影響もあり、第3四半期まで(3-11月)の経常利益累計を見ると、通期(2019年2月期)計画に対する進捗率がやや低い会社もあります。
2月決算小売業、時価総額上位13社の経常利益(ユニーファミマのみ純利益)第3四半期までの実績、通期予想に対する進捗率
【金額単位:億円】 | |||||||
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コード | 銘柄名 | 2018年 11月期 :第3 四半期 まで累計 |
前期比 :% |
進捗率 :% |
2019年 2月期 :会社 予想 |
前期比 :% |
最高益 |
3382 | セブン&アイHD | 3,000 | 1.4 | 73 | 4,085 | 4.5 | ● |
8267 | イオン | 1,103 | 4.9 | 46 | 2,400 | 12.3 | ● |
9843 | ニトリHD | 797 | 11.4 | 80 | 1,000 | 5.4 | ● |
8028 | ユニー・ファミリーマートHD | 純利益 564 |
116.5 | 128 | 純利益 440 |
130.7 | ● |
7453 | 良品計画 | 357 | 3.7 | 71 | 503 | 9.4 | ● |
2651 | ローソン | 466 | -13.3 | 82 | 570 | -12.5 | × |
3141 | ウエルシアHD | 216 | 1.9 | 63 | 341 | 10.3 | ● |
2670 | エービーシー・マート | 343 | 2.2 | 77 | 446 | 0.2 | ● |
8273 | イズミ | 236 | -7.8 | 67 | 350 | -8.4 | × |
3086 | J.フロント リテイリング | 349 | -7.5 | 70 | 496 | 2.8 | ● |
8227 | しまむら | 213 | -40.9 | 53 | 404 | -8.0 | × |
7649 | スギHD | 189 | 1.2 | 71 | 265 | 2.3 | ● |
8233 | 高島屋 | 229 | -6.1 | 65 | 350 | -9.3 | × |
出所:各社決算短信より楽天証券経済研究所が作成。 進捗率は、通期会社予想に対する、第3四半期までの進捗率を示す |
上の表で、注目していただきたいのは、進捗率です。第3四半期までの9カ月の実績が、通期(2019年2月期)会社予想の何%か示しています。第4四半期は売上高が大きい12月を含むので一概には言えませんが、一般的には、75%くらいが普通と考えます。
進捗率が75%を大きく超過しているところは、赤色で表示しています。この時点での進捗率が高いと、通期業績(会社予想)が上方修正される可能性が高いと言えます。
75%を大きく下回っている進捗率は、青色で示しています。
【1】しまむらは未達懸念、ネット販売との競争で低調
進捗率53%のしまむらは、通期業績(会社予想)が下方修正される可能性が高いと考えています。10-11月は、暖冬で衣料品販売が冴えませんでした。ただ、しまむらの販売不振は天候だけが原因ではありません。
同社はカジュアル衣料品を、全国で有店舗販売して成長してきましたが、最近はネット販売に押されて、売上が伸び悩んでいます。衣料品はネットで販売しやすい商材で、近年、ネット販売が急増していますが、ネット販売への対応が遅れたため、しまむらの業績低迷は当面続きそうです。
【2】イオンは第3四半期までの進捗率が低いが、好調な決算
第3四半期まで(2018年3月-11月)の経常利益は、前年同期比4.3%増の1,103億円で、同期間で最高益を更新しました。6-9月は悪天候、10-11月は暖冬と天候要因に足を引っ張られ、利益計画には少し遅れが出ています。それでも構造改革・成長戦略ともに、着実な進捗が見られる良い決算だったと評価できます。
第4四半期(2018年12月-2019年2月)は季節的に高水準の利益が出るので、通期(2019年2月期)の経常利益は、会社予想(2,400億円)に50億~100億円足りなくなる可能性があるものの、最高益を更新すると予想しています。
今回の決算で高く評価できるのは、海外(アジア)での利益成長が軌道に乗ってきたことです。イオンは、小売・金融・不動産を含めて、2018年3-11月期に、海外で営業利益の22%を稼ぐまでになっています。小売業はほぼ損益トントンですが、金融・不動産で稼ぐ構図は、国内と同じです。今後、海外収益の構成比がさらに高まっていくことが、予想されます。
イオンは、株主優待で個人投資家に人気の銘柄ですが、今後は、長期的な成長にも期待できるようになってきたと考えています。
イオンの所在地セグメント別営業利益:2018年3~11月期
【金額単位:億円】 | ||
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セグメント名 | 営業利益 | 前期比 |
日 本 | 854 | ▲46 |
アセアン | 231 | +76 |
中国 | ▲1 | +28 |
他 | 5 | +3 |
合計 | 1,090 | +62 |
出所:イオン決算資料 |