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「9月~11月の相場は乱高下?安心できる株の買い場は米国大統領選挙終了時か・・」
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

「9月~11月の相場は乱高下?安心できる株の買い場は米国大統領選挙終了時か・・」

2016/9/21
目先の相場の材料は本日の日米金融政策の結果であるのはもちろんだが、日銀は既存の枠組みの中で出来ることが限られているし、米国の方も9月に利上げがなくてもどうせ年内に1回(12月)は利上げをするのだろうということで、特段の驚きがあるようなイベントにはなりにくい。
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最もインパクトがある材料は米国の大統領選挙

目先の相場の材料は本日の日米金融政策の結果であるのはもちろんだが、日銀は既存の枠組みの中で出来ることが限られているし、米国の方も9月に利上げがなくてもどうせ年内に1回(12月)は利上げをするのだろうということで、特段の驚きがあるようなイベントにはなりにくい。

年末や来年の相場を考えた場合、最もインパクトがある材料は米国の大統領選挙であり、その結果次第では米国の政策が大きく変化する可能性がある。したがって、ファンド勢や運用者の興味は徐々に米国の大統領選挙の行方に移りつつある。11月8日の大統領選挙投票日までの相場はボラティリティ(変動率が上がり)乱高下相場が展開されるとみる運用者も多い。

2016年の米国株式市場は、「米大統領選挙ではヒラリー・クリントンが勝利する」という前提で動いてきた。だから、最高値を更新したのである。しかし、ここにきてクリントンの健康問題や政治献金問題がクローズアップされている。

これまでは、「仮にトランプが勝つとFRB議長が交代し、軍事産業の株も売られる」と投機筋の間で噂になっていた程度だったが、現在、運用者はトランプ勝利のシナリオを真剣に考えている。新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックは、「米大統領選については、共和党のドナルド・トランプ候補が勝利する」と予想している。

米大統領選の情勢は、トランプが巻き返しているものの、ヒラリーが依然優勢な状況は動いていないようだ。評判のよくないトランプだが、運用者の中にはヒラリーよりトランプを支持する声も多い。陰鬱博士と呼ばれるマーク・ファーバーは、最新のThe Gloom, Boom & Doom Report 2016年9月号で米大統領選挙について次のような意見を述べている。それは、両者の本質をついているように思える。

「読者のなかには、理由が何であれ、トランプは大統領候補に望ましくないと主張する人がいるだろう。しかし、私が知る限り、世界で現在進行している経済・地政学的変化を認識している唯一の候補がトランプだ(共和党員の間では間違いなく)。 私の見解では、クリントン政権では間違いなくネオコンが外交政策で重要な地位を占めることになる。そして国際的緊張が“高まり”、ひょっとすると戦争が引き起こされるかもしれない。一方、トランプ政権は、はるかに開放的だ。建設的な交渉で大国(米・中・ロそして、それほどでないにせよインド)間の意見や利益の相反を解決しようとするだろう」(ファーバーレポート 2016年9月号「統制主義者は過去に生き、勝者は過去に学ぶ、そして平和で豊かな未来に向けて努力する」)

「誰もが多くのさまざまな問題で自分なりの意見を持っているはずだ。そうあってほしいと願う。ただ、これだけは明らかなはずである。人口約3億3000万人の米国が70億人の世界を支配できるわけがない。したがって、すでに崩れかかっている金融市場にとって、クリントン政権はトランプ政権よりも好ましくないと考えている。しかし、市場は異なる受け止め方をするだろう。選挙前、クリントン勝利の可能性が高まれば、トランプ勝利の確率がかなり高くなった場合よりも、市場はよく持ちこたえそうだ。トランプの場合は不透明である。ウォール街はクリントンのほうが容易に、また(アジアの首脳たちからみて)比較的低コストで買収できると確信している。ただ、トランプの勝利はロシア、東欧、中央アジア諸国にとって極めて好ましいだろう。またアジア市場にも強い追い風となる。米露、米中の緊張が緩和され得るからである。もちろん、この見解は直感的に理解できるものではないだろう。トランプは反自由貿易を唱えているからだ。しかし、彼が当選すれば、その実利主義から、米国が苦しんでいる原因はアジアの輸出国よりも過大な貿易障壁と高い関税にあることに気がつくだろう」(ファーバーレポート 2016年9月号「統制主義者は過去に生き、勝者は過去に学ぶ、そして平和で豊かな未来に向けて努力する」)

以下は米大統領選挙までのテレビ討論会の日程だが、相場のボラティリティの上昇は必至という声が多くなっている。相場の流れにうまく乗れればよいが、9月~11月の相場は乱高下に巻き込まれ、「売ってやられ。買ってやられ」という散々な結果になる可能性もある。だから、この局面の戦略は、順張りではなく逆張りが有効となろう。

米大統領候補テレビ討論会のスケジュール

  • 9月26日:第1回テレビ討論会
  • 10月4日:副大統領テレビ討論会
  • 10月9日:第2回テレビ討論会
  • 10月19日:第3回テレビ討論会
  • 11月8日:一般有権者による投票および開票

FOMCで利上げは織り込ませるが、9月は利上げしない?

新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックは、「9月のFOMCでFRBはタカ派のコメントで年内利上げを織り込ませるが、利上げは見送るだろう」と述べている。これは、市場のコンセンサスだ。

世界最大のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオは「FRBは短期的な景気サイクルにばかり目をとられている。しかし、長期債務サイクルに目を向けるべきであろう。世界経済の現状は、格差やポピュリズムの台頭といった点で、1930~40年代と似ている。日本や欧州の金融政策は経済刺激の限界に近く、米国や中国はまだ余裕がある。しかし、世界経済が減速しそうなのは間違いない。現在、リスクは圧倒的にダウンサイドにあり、混乱の引き金を引きかねない利上げをすべきではない」と、警鐘を鳴らしている。

ちなみに、レイ・ダリオは30年以上の長期にわたって最も顧客に利益を与えたヘッジファンド史上最高の運用者といってもよいだろう。レイ・ダリオの旗艦ファンドである<ピュア・アルファ>(690億ドル相当の運用額)の今年これまでのリターンはマイナス9.4%だが、1991年以降のリターンは年率プラス約12%で、年間ベースではこの15年間、マイナスを経験していない。

レイ・ダリオが言うように相場の不確実性が高まりつつある。最近のNYダウの変動幅は拡大傾向にあるが、これは相場の不確実性が高まっている証左であろう。

NYダウ(日足) NYダウの変動幅は拡大傾向
上段:1日TR(赤)・14日ATR(青)
中段:フィルター付き逆張りシグナル
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

NYダウ(週足)と米国の金融政策
「混乱の引き金を引きかねない利上げをすべきではない」とレイ・ダリオは警鐘を鳴らすが・・

(出所:石原順)

長期金利のコントロールはできないというのが金融のイロハだが・・

このレポートを書いている途中に、日銀が長期国債の買い入れ縮小の方針を示した金融政策決定会合の結果が聞こえてきた。マイナス金利を深堀しなかったことと、利回り曲線のスティープ化観測を好感し日経平均は300円超の上げとなっている。

日経平均先物(日足)と転換点売買のシグナル
上段:25日エンベロープ±5%(青)・±10%(赤)
下段:3日修正平均ADX(青)

(出所:石原順)

金融当局がコントロールできるのは短期金利だけであり、長期金利のコントロールはできないというのが金融のイロハである。今後、日本の長期金利がおかしな上昇をすれば、テーパー・タントラムを引き起こしかねないのはないと警戒する声も聞かれている。ヘリマネでもやれば話は別だが、日銀の金融政策はそろそろ限界に来ている。

9月・10月は株式市場のボラティリティが上がる月であり、慎重な運用を心掛けたい。株式市場の基本は<10月末買い・4月末売り>であり、安心できる株の買い場は米国大統領選挙終了時あたりになるのではないだろうか?

ラリー・ウィリアムズのサイクル分析

8月25日のレポートで著名投資家ラリー・ウィリアムズの相場予測を紹介したが、ラリーの使っている複数のサイクル分析では9月~10月にかけてS&P500や日経平均は下落すると予測となっている。株式市場の買い場はもう少し先になりそうで、この時期のトレードは慎重さが要求される局面だと思われる。

「ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析」(ラリーTV)9月20日
S&P500(日足)*チャートの掲載はラリー本人の了承を得ていますが、著作権のため画像の一部を隠しています

(出所:「ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析」(ラリーTV)9月20日)

「ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析」(ラリーTV)9月20日
日経平均(日足)*チャートの掲載はラリー本人の了承を得ていますが、著作権のため画像の一部を隠しています

(出所:「ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析」(ラリーTV)9月20日)

ドル/円相場は戻り売りの循環が続いている

筆者の周辺のファンドでは、相場が200日EMA(指数平滑移動平均線)を下回っている局面では、戻り売りはするが押し目買いを休止しているところが多い。それが、危機から身を守る手段であり、急落や暴落に巻き込まれないためのアラート(警報)だからだ。過去200日間の市場参加者の平均コストを下回っている相場は、相場急落のリスクを孕んでいる。

円相場の日足と、200日EMAフィルター付きストキャスティクス5.3.3の逆張りシグナルである。200EMAの下の相場での戻り売りシグナルの利食いポイントは、ストキャスティクス5.3.3の買いシグナル、あるいはトレール注文のいずれかを使っている。今年の円相場は、ここまでは戻り売り相場が継続している。

逆張りは相場の転換点を当てるゲームである。トレンドに逆らってカウンターで売買をおこなうので、損切注文が必須の売買手法だ。相場で発生する大きな損は、相場で間違った後の処置をしなかったために発生する。相場は一に損切り、二に損切り・・、ポジションに忠誠を尽くしてはいけない。

ドル/円(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

ユーロ/円(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

ポンド/円(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

NZドル/円(日足)のフィルター付き逆張り売買シグナル
上段:200日EMA(緑)・52日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

このレポートで取り上げた売買手法の詳細はDVD『相場で道をひらく7つの戦略-短期売買実践編』(石原順)で取り上げております。興味のある方はご参照ください。

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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