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「3月相場のアノマリーと日本の3月期末PKO」
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

「3月相場のアノマリーと日本の3月期末PKO」

2016/3/3
上海G20でようやく財政出動の話が出てきた。しかし、協調した財政出動など具体的な対応は盛り込まれなかった。G20の声明文の内容は「売りでも買いでもない」と市場ではみているようだ。一方、ファンド筋からは<日本の3月期末PKOに対する思惑>が浮上している。
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日本の3月期末PKOをにらんだファンド勢の思惑

上海G20でようやく財政出動の話が出てきた。しかし、協調した財政出動など具体的な対応は盛り込まれなかった。G20の声明文の内容は「売りでも買いでもない」と市場ではみているようだ。一方、ファンド筋からは<日本の3月期末PKOに対する思惑>が浮上している。

現在のような株価で3月期末を迎えると、年金の巨額損失問題などが蒸し返され、参議院選挙を控えた安倍政権にとってはダメージが大きい。日本のマーケットはPKOだけで動いているという認識を持っている海外ファンドのなかには、「安倍政権は3月のSQ後に年金を使った期末のPKOや、経団連を動かして大手企業の自社株買いを促すような動きに出てくるのではないか」という見方をとっているところが多い。

あるグローバルマクロファンドの運用者は、「仮に安倍政権が3月期末PKOに失敗すれば、消費増税を延期するだろう。このような状況で、消費増税延期を阻止したい黒田日銀としては、3月は動かずに玉を温存するだろう。3月は黒田ではなく、安倍が動くとみている」と語っている。

日経平均(日足) 25日エンベロープ-10%水準から反発も、こんな株価では参議院選挙は戦えない?
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)・25日エンベロープ±10%(赤)

(出所:石原順)

米大統領選挙年の米国株のパターン分析

米大統領選挙年のNYダウは、1月~3月(下落)、3月~5月(上昇)、5月~8月(下落)、8月~9月(上昇)、9月~10月(下落)、11月~12月(上昇)というパターンが抽出できる。筆者は今年もNYダウの上昇は3月辺りから始まるのではないかとみている。こうしたアノマリーを知っているファンド筋が、運用難のなかで短期勝負を仕掛けているのが今の米国市場だ。

NYダウはダブルボトムからの反騰、米10年国債金利もFOMC接近でポジション調整的な上昇に転じている。米国債金利の上昇を受けて、ドルインデックスも素直に米金利と連動している。

NYダウ(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

米10年国債金利(日足) 金利安トレンドはピークアウト
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドルインデックス先物(日足) ドル売りトレンドはピークアウト、次のトレンド待ち
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

先週のレポートにも書いたように、「米国大統領の任期8年目の直近の2例(2000 年と2008年)をみると、クリントン政権とブッシュ政権の最終年に、それぞれハイテク株と米住宅市場の崩壊があった」(マーク・ファーバー「The Gloom, Boom & Doom Report」2016年2月号)という指摘もあり、今年は大統領選挙年サイクルが機能しない可能性が懸念される。投資家はかなり防御的な姿勢を維持すべきであろう。

S&P500(日足)と1970~2134という強烈な抵抗圏(黄色のゾーン) ここからは上値が重くなる?

(出所:石原順)

ドル/円相場と20か月移動平均線

ドル/円相場は円高バイアスが強い。これは相場が20か月移動平均線を割り込んだことで、

投機筋が嵩にかかって円買いを行っているからだ。週足のドル売りシグナルが消滅するか、相場が20か月移動平均線を上抜いてくるまでは、依然、円高方向への警戒は怠れない。3月2日現在のドル/円の20か月移動平均線は、118円18銭付近に位置している。

ドル/円(月足) 20か月移動平均線と売買シグナル

(出所:石原順)

ドル/円(週足)と売買シグナル
上段:14週修正平均ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

とはいえ、2月25日にドル/円相場は21日ボリンジャーバンドの-1シグマの内側に入ったため、強い円高トレンドはいったん終息した。3月は中央銀行のイベントを控えていることや、ドルインデックスをみるとドル売り相場もピークアウトしており、ここから投機筋はいったん円買いポジションの利食いに動いたようだ。

ドル/円(日足) 2月25日に強い円高トレンドはいったん終了
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

筆者のもとにはあるファンドのドル/円の将来予測チャートが届いているが、それを見るとドル/円は3月後半から4月の中旬にかけて円安気味に推移する予測になっている。現在、ドル/円の日足はダブルボトムを付けたという見方もあるが、ダブルボトムが認定されるのは2月16日高値114円86銭を上抜く必要があるだろう。

2月16日高値114円86銭を抜かない限り、相場は高値切り下げ、安値切り下げという、<弱気の位置の下に弱気が乗っている>状態にある。相場は高値切り下げ、安値切り下げという<序列>が続く限り、ドル/円相場の大局はドル売りであり、2月16日高値114円86銭を上抜けるかどうかが目先の最大の焦点だ。

ドル/円(日足)と1~3か月の市場参加者のコスト(移動平均リボン=赤の帯)
2月16日高値114円86銭を上抜くことが出来るか?

(出所:石原順)

相場のトレンド分析

筆者の独断と偏見でいえば、トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカル・ツール(道具)で最も優れているのは、「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」という指標である。

相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場が保ち合いを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンドの±1シグマ(一部の商品は0.6シグマ)をブレイクしたときだ。一方、標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横這いレンジ内での乱高下相場」となりやすい。

ここにきてのマーケットの大きな変化は原油市場の落ち着きだろう。ダブルボトムパターンを作り、なんと原油先物の日足で久しぶりに買いシグナルが点灯した。

原油先物(日足) 買いシグナル点灯中
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ファンド勢の中には原油市場の落ち着きを見て、標準偏差ベースでみてこれまで売られ過ぎていた豪ドル/ドルの買いを仕掛けている向きが増えている。

豪ドル/ドル(週足) 売られ過ぎか・・?
上段:14週修正平均ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

豪ドル/ドル(日足) 保合離れは起きるか?
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/カナダドル(日足) 原油安一服でカナダドルも買われている
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

外為市場の代表的な銘柄であるユーロ/ドルは調整相場で方向感がはっきりしないが、直近のユーロ安、ポンド安・円高に乗じて、投機筋は対円で欧州通貨売りを行っていたところが多い。ただ、相場は21日ボリンジャーバンドの-1シグマの内側に入る動きを見せていることから、今後は調整相場に移行する可能性があるだろう。

ユーロ/ドル(日足) 調整相場
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/ドル(週足) ドラギマジックというユーロ安誘導が効いていない?
上段:14週修正平均ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/円(日足) 円買いトレンド相場継続中
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ポンド/円(日足) ポンド売り相場はいったん終息?
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、例えば日足であれば26日標準偏差ボラティリティや14日ADXが低い位置から上昇し、21日ボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクした(外に飛び出した)ときだ。当然ダマシもあるが、年に2回程度は大きなトレンドに発展することが多く、リスクを取るに値するポイントであろう。トレンドが発生している商品には、ストップを置いて素直に順張りでついていけばよい。

直近の相場の動きは、売られ過ぎた銘柄に投機筋の買い戻しが出ているだけである。そこにアルゴリズムなどの短期筋が参入し、相場の増幅が拡大している。しかし、ここ数週述べてきたように、筆者はNYダウの上昇は3月辺りから始まるのではないかとみており、そこに中央銀行の会合や日本の3月期末PKOが絡んで、3月相場は1~2月のような売り圧力は軽減されると思われる。

相場に絶対の法則はない。相場を正確に予測することは誰も出来ない。筆者も30年にわたり相場と関わってきたが、投資の世界はつきつめてやりだすと、終わりの見えないことばかりなのである。それでも相場とは一体何かと言うと、それは「確率に賭けるゲーム」であろう。筆者が心がけていることは、勝つ確率の高い局面で投資を行うということである。みなさん、ストップロス注文をお忘れなく!

米雇用統計の推移2000年~2016年
明日22時30分に発表される米雇用統計は、非農業部門雇用者数変化+19万5000人、失業率4.9%の予想となっている。ファンド勢が注目しているのは出てくる数字に対して米株式市場がどういう反応をするかの1点である。

(出所:石原順)

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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