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「3月から米国株は上がるか?米大統領選挙年の米国株のパターン分析」
石原 順
外為市場アウトルック
数社の海外ファンド運用に携わる現役ファンドマネージャー・石原順のレポートです。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や豊富な海外情報ネットワークを用いて、為替市場のい…

「3月から米国株は上がるか?米大統領選挙年の米国株のパターン分析」

2016/2/25
年初からの株式市場の下げは米利上げを受けたジャンク債利回りの急騰から始まった。日本株が急落する中で、日銀が1月末には予想外のマイナス金利導入に踏み切ったことで…
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財政出動がない限り、世界の景気は上向きそうにない

年初からの株式市場の下げは米利上げを受けたジャンク債利回りの急騰から始まった。日本株が急落する中で、日銀が1月末には予想外のマイナス金利導入に踏み切ったことで、煽られた企業が借金をして自社株の買い戻しが出るのではないかと期待されたが日本の株価は低空飛行を続けている。

日経平均(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)・25日エンベロープ±10%(赤)

(出所:石原順)

米各業種のハイイールド債(2010~15年)

(出所:『マーク・ファーバー博士の月間マーケットレポート2月号「投資目標を達成する最善の方法は目を覚ますこと」パンローリング発行 掲載許可済)

iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF(日足)
バブル相場の指標銘柄(リスク許容度の指標)=「炭鉱のカナリア」か?

(出所:石原順)

超緊縮財政が続く中世界経済が悪化しているが、今や市場は事実上金融当局が値付けをしているので、次の対策(操作)を期待する声が多い。国際通貨基金(IMF)は2月24日に世界経済が一段と減速するとの見通しを示した報告書を発表したが、G20各国に財政出動や、構造改革の推進といった政策対応を求めている。

G20に対しては、「中国・上海で26、27日に開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議は、インフラ投資や減税などの財政刺激策が主要議題の1つに浮上してきた。ただ、財政に余力のあるドイツは消極的とみられ、声明に協調行動が盛り込まれることは望み薄。米国が意欲を示す通貨安競争のけん制でも新たな方向性が出る可能性は低く、プラザ合意の再現とはかけ離れた新味のないG20になるリスクもありそうだ」(24日ロイター)と報道されている。

長期停滞のなか、ローレンス・サマーズが主張する財政出動がない限り、世界の景気は上向きそうにない。金融政策(中央銀行バブル)は限界にきているのだろう。FRBが利上げを止めてQE4やマイナス金利を導入すれば、中央銀行バブルはまたしばらく延命するかもしれないが、それが尽きるとまた必然的に危機が起きる。中央銀行バブルの崩壊=金融危機は金融政策が万策尽きたところで起こるだろう。

相場は次のトレンド待ち

1~2月の急落で市場が傷んでしまい、各市場とも流動性が下がっている。そのため、高速取引業者だけが跋扈し出入りの激しい相場展開が続いている。しかし、NYダウや原油先物相場の動きを観察すると、2月は乱高下ながら調整相場であったことがわかるだろう。

筆者の独断と偏見でいえば、トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカル・ツール(道具)で最も優れているのは、「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」という指標である。

相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場が保ち合いを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンドの±1シグマ(株式インデックスは0.6シグマ)をブレイクしたときだ。一方、標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横這いレンジ内での乱高下相場」となりやすい。

NYダウ(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)・18日エンベロープ±3%(赤)

(出所:石原順)

原油先物(日足)
上段:14日修正平均ADX(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

円高トレンドだけが走っているが・・

こうしたなかで、ドル/円相場だけが円高トレンド相場を継続している。これは相場が20か月移動平均線を割り込んだことで、投機筋が嵩にかかって円買いを行っているからだ。2016年1月21日のレポート 『流動性パニックとミンスキー・モーメントの到来、FRBは路線変更できるのか?』で、「2016年1月21日現在の20か月移動平均線は116円86銭である。昨年から2016年はドル/円の20か月移動平均線の攻防があると言ってきたが、相場がドル/円相場のトレンドを決するといわれる20か月移動平均線を割り込むと、投機筋が嵩にかかって円買いを仕掛けてくる可能性があるので注意が必要である。20か月移動平均線を割り込むと、ドル/円相場は中期タームで110円まで下落する可能性が出てくる」と書いたが、相場はあっという間に110円96銭まで急落した。

ドル/円(日足)
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円(月足) 20か月移動平均線と売買シグナル

(出所:石原順)

ただし、3月は中央銀行のイベントを控えていることや、ドルインデックスをみるとドル売り相場もピークアウトしており、ここから投機筋はいったん円買いポジションの手仕舞いに動く可能性もある。

ドルインデックス先物(日足)
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

米大統領選挙年の米国株のパターン分析

米大統領選挙年のNYダウは、1月~3月(下落)、3月~5月(上昇)、5月~8月(下落)、8月~9月(上昇)、9月~10月(下落)、11月~12月(上昇)というパターンが抽出できる。筆者は今年もNYダウの上昇は3月辺りから始まるのではないかとみている。

ただし、「FBN証券の首席マーケットテクニシャン、J.C.オハラの指摘によると、さかのぼって1920年から、米国大統領の任期8年目には株式にとって悪い知らせがあるという。オハラのチャートからは、1920年以降、大統領任期8年目にダウが平均15%ほど下げている。

直近の2例(2000 年と2008年)をみると、クリントン政権とブッシュ政権の最終年に、それぞれハイテク株と米住宅市場の崩壊があった」(マーク・ファーバー「The Gloom, Boom & Doom Report」2016年2月号)という指摘もあり、大統領選挙年サイクルが機能しない可能性が懸念される。

S&P500(日足)と1970~2134という強烈な抵抗圏(黄色のゾーン)

(出所:石原順)

「前にも指摘したが、S&P500に1970~2134にかけて強烈な抵抗圏がある。株式の評価は依然として高いままだ。そして世界経済の見通しに暗雲が立ち込めている。こうした状況下で、投資家はかなり防御的な姿勢を維持すべきである。みんなが数十億ドルの恩恵を受けるという、大きな政府、大きな企業、大きなメディアの癒着は<めでたしめでたし>で終わりそうにはない。一人はみんなのために、みんなは一人のためにであったとしても・・」(マーク・ファーバー) 

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