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「2016年大波乱相場での売買手法、なにが有効なのか?」
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

「2016年大波乱相場での売買手法、なにが有効なのか?」

2016/1/28
筆者は昨年2015年の為替相場の収益の大半を、テクニカル指標「エンベロープ(移動平均乖離)」を使ったドル/円の逆張り(押し目買い)によって上げてきた。「エンベロープ(移動平均乖離)」は移動平均線を一定の割合で上下に乖離させたテクニカル指標である。
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2016年相場は全天候型のトレーディング相場対応で臨む

筆者は昨年2015年の為替相場の収益の大半を、テクニカル指標「エンベロープ(移動平均乖離)」を使ったドル/円の逆張り(押し目買い)によって上げてきた。「エンベロープ(移動平均乖離)」は移動平均線を一定の割合で上下に乖離させたテクニカル指標である。「価格が移動平均線から乖離しすぎると、平均に戻ろうとする力が働く」という平均回帰の考え方から、エンベロープで「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断し、逆張りや利食いのポイントとして利用している。

ドル/円相場の動く範囲を観察すると、<日足>での通貨の変動は概ね13日移動平均線の±2%~3%乖離の範疇で動くといわれている。最近は相場の変動率が低下しているため、±1%がコアレンジとなっている。

<1時間足>での通貨の変動は概ね13時間移動平均線の±0.6%乖離の範疇で動くが、最近の相場では±0.3%がコアレンジとなっている。筆者は日足相場に円高トレンドが発生していない限り、<1時間足>のエンベロープ売買では、マイナス0.3%やマイナス0.6%の水準はすべて押し目買いに動いてきた。相場のトレンド(方向性)の有無を判定する指標は、日足の26日標準偏差ボラティリティと14日ADXである。

(ADXには様々なバージョンがある。筆者の使っている14日ADXはADXの考案者であるJ・ウエルズ・ワイルダーの計算式に忠実な<修正平均バージョン>である。即ち、前日のADXを13倍し、今日のDXを足し、それを14で割るという計算式である)

筆者は日足で円売りトレンド相場になっている場合や方向性のない相場では13時間エンベロープで押し目買いを継続するが、日足で円買いトレンドが発生した場合は、直ちに13時間エンベロープでの押し目買いは休止する。

これが、昨年までの年金PKO相場での売買戦略だ。ドル/円の押し目さえ買っていればよかった昨年までの相場とは違い、中央銀行の打つ手が限られる中で今年は<トレーディング相場>に移行したと言ってよいだろう。上げ下げが激しい中で、全天候型というか、比較的短期のテクニカルツールを使って相場の変化に対応しようと思っている。

トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカルツール(道具)

トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカル・ツール(道具)で最も優れているのは、「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」という指標である。

相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場がもちあいを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。標準偏差ボラティリティやADXは今の相場がトレンドなのかレンジ相場なのかを見分ける指標であり、売買のシグナルを教えてくれるわけではない。

相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、例えば日足であれば26日標準偏差ボラティリティや14日ADXが低い位置から上昇し、21日ボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクした(外に飛び出した)ときだ。当然ダマシもありますが、年に2回程度は大きなトレンドに発展することが多く、リスクを取るに値するポイントであろう。

一方、26日標準偏差ボラティリティや14日ADXがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「レンジ内での乱高下相場」となりやすい。

大波乱相場での売買手法

具体的に最近のドル/円のチャートで検証してみよう。まずは、日足の26日標準偏差ボラティリティや14日ADXで相場の方向性(トレンドの有無)を確認し、相場のトレンド期間とレンジ(もちあい)期間を判定するところから作業は始まる。

ドル/円は相場が21日ボリンジャーバンド-1シグマの外に飛び出し、26日標準偏差ボラティリティと14日ADXが低い位置から上昇しだした昨年の12月9日あたりから円高トレンド相場に移行した。ここで円買いしたが、12月16日に相場が21日ボリンジャーバンド-1シグマの内側に入ってしまい、このトレードは80銭程度の損切で終わった。

その後相場は12月18日の日銀会合の補完措置の日に再度21日ボリンジャーバンド-1シグマの外に飛び出した。ここから相場は今年の1月21日に21日ボリンジャーバンド-1シグマの内側に入るまで円高トレンド相場を継続したのである。これがトレンドに乗るという売買の基本形である。12月18日のNYクローズ121円25銭から1月21日NYクローズの117円31銭まで約4円の円高トレンド相場が展開された。

ドル/円(日足)
上段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)・±2シグマ(赤)
中段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:14日修正平均ADX(赤)(注:Meta4に最初から入っているADXとは計算式が違います)

(出所:Meta Trader4)

現在は、26日標準偏差ボラティリティや14日ADXがピークアウト(天井をつけ下落)しており、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「レンジ内での乱高下相場」となりやすい局面だ。この乱高下相場で儲けるのは苦労する。感情に任せて売買していると、<買ってやられ・売ってやられ>という散々な目にあいやすい。

相場の転換点を探る

さて、筆者が現在なにをしているかというと、日足も1時間足の売買も<逆張り>である。その理由は、1月21日に26日標準偏差ボラティリティや14日ADXがピークアウト(天井をつけ下落)したからである。

下のチャートは、ドル/円(1時間足)に13時間エンベロープ±0.3%・±0.6%と<3時間修正平均ADX>をプロットしたものだ。上に述べたように、本来、ADXは相場の<順張り>に使う指標であるが、筆者はADXを<逆張り指標>としても用いている。

ドル/円(1時間足)相場では<3時間修正平均ADX>が70以上や30以下になった時が相場転換の領域となりやすい。筆者は<3時間修正平均ADX>という指標を、ドル/円(1時間足)の相場の転換をとらえるのに使っている。

以下はドル/円の1時間足の1月21日から1月26日までの推移である。相場の転換ポイントは、緑の丸で囲ったポイントである。筆者は、2日未満の日計り商いでは、<3時間修正平均ADX>を使って売買している。明確な利食いのポイントがあるわけではなく、利益が出れば直ちに、あるいは相場を見ながら適当に手仕舞うというトレードを行っている。

ドル/円(1時間足) 直近の相場(上から時系列順の推移)
上段:13時間エンベロープ±0.3%(青)・±0.6%(赤)
下段:3時間修正平均ADX(青)(注:Meta4に最初から入っているADXとは計算式が違います)

(出所:Meta Trader4)

(出所:Meta Trader4)

(出所:Meta Trader4)

ドル/円の日足も見ておこう。最近のドル/円の日足相場では、3日ADXが70以上30以下(筆者は局面によって60以上や40以下も使う)になった時が相場転換の領域となっている。「相場転換のシグナル」として「ADX(3)」を使っているが、RSIやボリンジャーバンドと同様に、ADXという指標は順張りにも逆張りにも使えるのである。

ドル/円(日足) 1月27日時点
上段:13日エンベロープ±1%(青)・±2%(赤)
下段:3日修正平均ADX(青)(注:Meta4に最初から入っているADXとは計算式が違います)

(出所:Meta Trader4)

ドル/円(日足) 1月28日時点 注意すべきは、3日ADXが相場反転領域に入ってきたこと・・
上段:13日エンベロープ±1%(青)・±2%(赤)
下段:3日修正平均ADX(青)(注:Meta4に最初から入っているADXとは計算式が違います)

(出所:Meta Trader4)

ドル/円は比較的レンジ感を掴みやすい通貨だが、最近、急落相場を演じたポンド/円のような荒い相場の動きも見ておこう。以下のチャートは、ポンド/円(日足)の13日エンベロープと<3日修正平均ADX>の推移である。

下げ相場の途中、相場の反転を示唆するシグナルがあったが、これはダマシとなり、転換に失敗した緑の丸で囲ったポイントで、筆者は損切り、途転ポンド売りに転じた。日足の14日ADXがまだ強いポンド売りトレンド相場を示唆していたからである。なお、暴走トレンド相場が発生すると、相場は13日エンベロープ-2%のバンドの外を走りやすい。

ポンド/円(日足)
上段:13日エンベロープ±1%(青)・±2%(赤)
下段:3日修正平均ADX(青)(注:Meta4に最初から入っているADXとは計算式が違います)

(出所:Meta Trader4)

今回紹介したテクニカル指標は、すべての通貨や商品に適用できるものではない。相場のトレンドを認識するのに有効な指標は非常に少ないが、近年のトレンド相場衰退の中で、筆者は何をやれば儲かるのかを常に探っている。その結果わかったことは、近年の相場は順張りだけで儲かる時代ではなくなったということだ。順張りだけで儲けようと思ったら、25~50品目の相関関係のあまりない商品を取引する必要があろう。

逆張りは相場のトレンドに逆らってポジションをとるので、大きな損失を被る可能性がある。ある意味でとても危険な売買手法であろう。相場にトレンドが発生した時は、逆張りを中止しなければならない。繰り返すが、相場のトレンドの有無を教えてくれるのは、日足の14日ADXと26日標準偏差ボラティリティである。この二つの指標は常に見ておきたい。

相場に絶対の法則はない。相場を正確に予測することは誰も出来ない。筆者も30年にわたり相場と関わってきたが、投資の世界はつきつめてやりだすと、終わりの見えないことばかりなのである。それでも相場とは一体何かと言うと、それは「確率に賭けるゲーム」であろう。筆者が心がけていることは、勝つ確率の高い局面で投資を行うということである。みなさん、ストップロス注文をお忘れなく!

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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