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「株も為替もエンベロープの下限域からリバウンド」
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

「株も為替もエンベロープの下限域からリバウンド」

2015/12/17
先週のレポートで「QE3の終了以降、商品価格の下落に拍車がかかっているが、原油価格が下がるとシェール企業のジャンク債のデフォルトリスクが懸念される。
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パリバショックの再来か?

先週のレポートで「QE3の終了以降、商品価格の下落に拍車がかかっているが、原油価格が下がるとシェール企業のジャンク債のデフォルトリスクが懸念される。シェール企業のジャンク債はCBO(Collateralized Bond Obligation:複数の社債を裏付け資産として発行される資産担保証券)の中に混ぜて売られているので、ジャンク債の保有者は正確なリスクを知らない人が多いようだ。シェール企業のジャンク債はサブプライム住宅ローンほどの規模ではないが、この先のテールリスクには注意が必要だろう」と書いたが、今週の市場でジャンク債市場の流動性不安が顕在化した。

iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF(日足)
上段:14日ADX(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

原油先物(日足)
上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

サード・アベニューが高利回り社債投信「サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンド」(TFCIX.O)について、投資家からの解約受け付けを停止し、清算すると決定した。さらに、ストーン・ライオン・キャピタル・パートナーズが11日に解約請求の受け付けを停止し、ライオンアイ・キャピタルも12月末に閉鎖する予定だと報道されている。

「解約停止」という事態は2007年のパリバショックを連想させたため、市場関係者は身構えたようだが、11日のパニック的な動きは現在いったん収まっている。米国のジャンク債の利回りが17%と5年ぶりの高水準に跳ね上がったため、値ごろ感から一部のファンドが買いに出たからである。値ごろ感から押し目買いが入っているうちは、まだバブルが継続しているということだろう。

下のチャートを見ていただきたい。<炭鉱のカナリア>と呼ばれるiシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETFは高値94から78まで下がったが、下げたと言ってもまだ序の口である。ジャンク債市場は非流動性によるメルトダウンの萌芽が感じられるが、米利上げペースが緩慢なうちは買いが入ってくるようだ。

iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF(日足)
バブル相場の指標銘柄(リスク許容度の指標)=「炭鉱のカナリア」か?

(出所:石原順)

注意しなければならないのは、この市場はいずれ崩れるということである。ゼロ金利という異常低金利と比較したらジャンク債もリートも<買い>となるが、金利が上がればそれらは下がるということだ。現在のジャンク債市場の混乱はブラックスワンではなく、必然と言えるだろう。この先、事態がより深刻化するかどうかはわからないが、市場の底流には緊張した空気が流れている。

「驚きが発生した時に、株式や特に債券の再評価は急激で劇的になりうる。同じ混雑した取引に捕まった全てのひとは、われ先にと出口へと向かうだろう。これまでと反対方向への群れる行動が発生する。だが、多くの投資は流動性に欠けるファンドへの投資であり、乱高下を円滑にしてきた伝統的なマーケット・メーカーはどこにも見当たらなくなる。したがって、売り手は投げ売りをせざるを得なくなる。金融緩和というマクロ流動性と市場の非流動性との組み合わせはひとつの時限爆弾である。これまでは乱高下するフラッシュ・クラッシュや債券利回りと株価の急な変化に留まっている。だが、時間が経つにつれて、中央銀行が短期変動率を抑制しようとする流動性創出が長引けば長引くほど、中央銀行は株式、債券そしてその他資産市場の価格バブルを煽ってしまう。より多くの投資家が、過大評価された、債券のような一段と非流動的な資産を積み上げるにつれて、長期的なクラッシュのリスクが増加する」と、ヌリエヌ・ルービニNY大学教授が指摘する市場の非流動性という時限爆弾が来年は爆発しそうだ。

新債券の帝王と呼ばれるダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラックは「ゴキブリは一匹だけではない。人々はクレジット商品を買い持ちに傾け過ぎている。クレジット商品がメルトダウンに見舞われているのに、株式市場は無理に平静を装っている。2007年と似通った状況で、恐ろしい」と、ロイターのインタビューに答えている。

FOMCではサプライズは起こらない?

FRBは昨日のFOMCで、FF金利の誘導目標を0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げることを決めた。イエレンの会見は、いつもと同じ中立的な物言いに終わった。ファンド勢の間では、「FOMCではサプライズは起こらない」というのが定説となっている。とりあえず来年の3月・6月・9月・12月の4回の利上げを市場に織り込ませたいのだろうが、市場の動きを見ながら利上げ時期については調整するのだろう。イエレンFRBのこれまでの政策は、マーケットコンセンサス通りにしかやっていない。「金融政策に波乱があるとしたら、3月・6月・9月・12月のFOMCの間のイエレンかスタンレー・フィッシャーの講演になるだろう」というのが、金利マーケット関係者の見方である。

FRBのドットチャート
2016年末の適切なFF金利(当局者17人の中央値)は1.375%と、9月時点の予測と同水準となり、来年に0.25ポイントの利上げが4回実施されると想定している

(出所:FRB)

反動の買戻し相場

利上げが噂されていた9月のFOMCと今回12月FOMCは、その前に市場がリスクオフになっていた。FOMCの手前からはその反動の買戻し相場となっている。FOMCの結果や内容で買われているわけではないだろう。

NYダウの日足は12月14日に下値の目処とされる18日エンベロープの-3%乖離水準に到達した。日経平均も12月14日・15日の相場で下値の目処とされる25日エンベロープ-5%水準に到達した。そこでファンド筋の買いが入ってリバウンドしているだけの相場である。

NYダウ(日足)
18日エンベロープ±3%(赤)・±1%(青)

(出所:石原順)

日経平均(日足)
25日エンベロープ±5%(赤)・±10%(青)

(出所:石原順)

一方、ドル/円は先週の時点ではドル売りトレンド相場となっていたが、相場が21日ボリンジャーバンド-1シグマの内側に入った12月16日にドル/円の売りシグナルは消滅した。相場は21日移動平均線を上回ってきており、現在は中立(ニュートラル)の状況である。

ドル/円(日足)
上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

こうした中で筆者が何をしているのかというと、相変わらずドル/円の逆張りである。日足では13日エンベロープの-1%および-2%水準で押し目買い、1時間足では13時間エンベロープの-0.3%および-0.6%水準で押し目買いを行っている。常にストップロス注文を置くことが前提となるが、現状ではこの売買が一番収益を上げやすい。

ドル/円(日足) ドル/円(日足)相場では筆者の使用している3日ADXが70以上や30以下になった時が相場転換の領域となっている
上段:3日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日エンベロープ±1%(青) ±2%(赤)・9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場

(出所:石原順)

ドル/円(日足)
上段:13日エンベロープ ±1%バンド(黄)・±2%バンド(緑)
下段:26日標準偏差ボラティリティ

(出所:楽天FX マーケットスピードFX)

ドル/円(1時間足) ドル/円(1時間足)相場では筆者の使用している3時間ADXが70以上や30以下になった時が相場転換の領域となっている
上段:3時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13時間エンベロープ±0.3%(青) ±0.6%(赤)・9時間RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場

(出所:石原順)

ドル/円(1時間足)
上段:13時間エンベロープ ±0.3%バンド(黄)・±0.6%バンド(緑)
下段:26時間標準偏差ボラティリティ

(出所:楽天FX マーケットスピードFX)

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