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ドル/円はどこまで上がるのか?
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

ドル/円はどこまで上がるのか?

2014/11/13
筆者は相場予測をするが、基本的に「相場についていく」というスタイルの運用者である。したがって、筆者がポジションを取る時は、相場予測とテクニカル分析(価格そのものの分析)が一致した時だけである。
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なぜ、買っていない?なぜ、買えなかった?

筆者は相場予測をするが、基本的に「相場についていく」というスタイルの運用者である。したがって、筆者がポジションを取る時は、相場予測とテクニカル分析(価格そのものの分析)が一致した時だけである。

28年前に相場に参戦してから、比較的早い段階で「相場予測という“思い込み”や“決め打ち”、あるいは値ごろ感でポジションを取ると損切りが遅れて大損失を被る」という失敗を何度もした。それからは、価格そのものの分析、即ち、ファンダメンタルズよりも相場技術(テクニカル)に比重をかけるようになった。トレンドについていく順張り手法でも、相場の転換点を当てる逆張り手法でも、このスタンスは変わらない。

相場予測というものには、統計的にも数学的にもなんら優位性はないのである。むしろ、相場の実践においては、予測といった<知性>や値ごろ感と言った<心理的なバイアス>が売買(建玉操作)の邪魔になることが多い。

大相場にのる方法

筆者は相場のトレンド(方向性)を判定するのに「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」という指標(テクニカル・ツール)を使っている。

相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場が保ち合いを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクしたときだ。

筆者は日足ベースの取引では10月31日にトレンドが発生したのでドル/円を買った。下のチャートは、ドル/円の日足チャートと21日ボリンジャーバンドと26日標準偏差ボラティリティと14日ADX(DMI)を表示させている。

トレンドの発生(保ち合い離れの判定方法)は、26日標準偏差と14日ADXが共に上昇しはじめた時で、エントリー(新規注文)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの外に飛び出した時、手仕舞い(エグジット)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの内側に入った時である。

したがって、現在は相場がNYクローズで21日ボリンジャーバンドの+1シグマ(11月13日現在、114円56銭)を下回らない限り、ドル/円の買いポジションは持ちっぱなしである。週足でも手法は全く同じである。ドル/円は週足でも買いトレンドが発生しており、大相場のパターンとなっている。

ドル/円(日足) 典型的なトレンド相場。標準偏差とADXが上昇中、相場は+1シグマの外に飛び出している。

上段:14日ADX(赤)
中段:26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円(週足)  日足も週足もトレンドが同時発生すると大相場になる

上段:14週ADX(赤)
中段:26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

先に述べたように、筆者は相場予測とテクニカル分析(価格そのものの分析)が一致しないとポジションを取らない。「わたし、失敗しませんから」といいたいところだが、筆者は1年を通した相場で何度も痛い目にあっている。しかし、だまされても±1シグマラインで決済(損切り)するので、壊滅的な損はしていない。何度か痛い目にあってもこの手法を使うのは、年に2回程度は大きなトレンドに発展する確率が高いからである。

ドル/円はどこまで上がりますか?ドル/円はどこまで押しますか?

10月31日の<黒田バズーカ2>以降、運用者からの照会が相次いでいるが、内容は次の2つに集約される。「ドル/円はどこまで上がりますか」と「ドル/円はどこまで押しますか」という2つの質問である。ここでは、筆者が考えているドル/円の上値抵抗、下値支持について簡単に紹介しておきたい。

ドル/円の動く範囲は概ね5年(60カ月)移動平均線の±30%かい離水準である。過去の相場では5年(60カ月)移動平均線の±10%および±20%水準もサポートやレジスタンスとなっている。

現在、ドル/円相場の60カ月移動平均線+30%乖離水準は116円69銭である。概ねこの60カ月移動平均線+30%乖離水準をドル/円相場の上値抵抗としてみておけばよいだろう。もっとも相場はオーバーシュートするので、60カ月移動平均線+30%乖離水準から2~3円ははみ出す可能性があるだろう。それを考慮すると。117円~120円が上値抵抗ということになる。

1990年以降の相場は120円を真ん中に上下40円の変動となっており、ドル/円相場にとって120円というのは非常に重要なポイントである。この水準を超えてくると「悪い円安論」が台頭し、いずれ財務省による円買い介入があってもおかしくはない。

ドル/円(月足)と60カ月移動平均線乖離(エンベロープ)

10%乖離(緑)・20%乖離(青)・30%乖離(紫)
+30%乖離は11月13日現在116円69銭

(出所:石原順)

ドル/円(月足)と20か月移動平均線(赤) 120円はセンターライン?

(出所:石原順)

一方、ドル/円の押し目だが、日銀による前代未聞の「株買い・国債買い・円売り」が行われている現状で、大きな押しは想定しがたい。浅い押しなら直近の上げ幅の23.6%押しの112円台、深い押しがあっても38.2%押しがせいぜいだろうと、筆者の周辺のファンド勢は見ている。

日銀はルビコン川を渡ってしまった。もう、引き返すことはできない。借金というのは誰かが返さないといけないが、それが膨大であれば解決策はインフレしかない。国民が貧乏(実質資産が目減り)になる一方で、政府は債務を実質的に圧縮していくのである。

金利が物価上昇率より低いマイナス金利の状況になると、個人は預貯金で運用していても、実質の資産は目減りしていく。国が意図的にインフレを起こし、債務の価値を減らす政策を行っているのだ。外貨を持たざるリスクを考える時であろう。

ドル/円(月足)とフィボナッチのリトレースメント

(出所:石原順)

日銀の総資産 (2014年10月26日現在 単位 10億円)

日銀のポートフォリオは今後GDPの7割という前代未聞の水準に拡大していく

(出所:石原順)

日本10年国債金利(日足) 金利が1%上がれば10兆円利払いが増える。消費税を20%に上げても、金利が4%になれば利払いで消えてしまう・・

(出所:石原順)

相場に正解はない。今回も筆者はこう思うということを書いただけだが、大相場に乗れない最大の原因は、ストップロス注文を置いてないからだ。ストップロス注文を置いておけば、ドル/円が115円であろうと、200円であろうと値段はあまり関係ない。相場の実践では相場のトレンドの有無こそが重要なのである。

「価格がニュースを産むのであって、その逆はない」(ピーター・ポリッシュ)

「私は朝から晩まで毎日CNBCを見るトレーダーを気の毒に思う。彼らは一度もS&P先物のトレードをしたことのない連中のコメントで、何とか競争で優位に立とうとしている」(クリスチャン・バハ スーパーファンドCEO)

「私は、自分が予測なんてできないと分かっていた。だからトレンドについていくことにしたし、だからこそ大成功し続けているのだ。私たちはただトレンドについていく。そのトレンドが初めのうちどれほど馬鹿げて見えても、またどれほど続いても、あるいは終わりがどれほど筋の通らないことに見えても、私たちはトレンドについていく」(ジョン・ヘンリー)

日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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