10月相場は要注意

「バブル相場が9月中は続くということを申し上げてきたが、10月相場は要注意だ。その辺の事情は次回のレポートで説明したい」と先週のレポートに書いたが、10月に入り、株式市場や円相場は調整売りに見舞われている。

ここ2週間の間に多くの運用者と話したが、ファンド勢は10月のQE終了を目前に利食いに動いている。ある運用者は「今は世界的な低(ゼロ)金利で、何もしない(運用しない)ことのコストは安い。逆に10月にリスク商品の買いポジションを持っていることのリスクは大きいと考えている。したがって、現在は10月の押し目を待つ姿勢だ」と述べている。

NYダウ(日足) 売りトレンドが発生する可能性がある

上段:14日ADX(赤)・13日標準偏差ボラティリティ(緑)
下段:21日ボリンジャーバンド±2シグマ(赤)13日エンベロープ3%(緑)

(出所:石原順)

10月相場が要注意というのは、言うまでもなく米国のQEが終了するからだ。QEが終了することにファンド勢はとても神経質になっていて、米株に関してはヒンデンブルグ・オーメンが点灯したとか、エリオット波動での急落予想など弱気な話が多い。CNNが発表しているFear & Greed Index(恐怖と欲望指数)は「7」とExtreme Fear(極度の恐怖)となっている。現在の相場はQE終了を前に、「いいとこ取り相場」の反省をしているのだと考えている。

NYダウ(週足)と米国の金融政策 QE終了後のダウは調整する確率が高く、
<10月相場>は要注意?

(出所:石原順)

CNNが発表しているFear & Greed Index(恐怖と欲望指数)

Greed Index(恐怖と欲望指数)は「7」とExtreme Fear(極度の恐怖)となっている

(出所:CNN)

ここから金融市場の大勢がどうなるかは、もちろん米国株次第であろう。7月に急落したバブルの指標銘柄といわれる「ハイイールド社債ETF」は9月に入って7月と同じような下げに見舞われている。今、ファンド勢が注目しているのは、7月安値水準で切り返しているiシェアーズiBoxxドル建てハイイールド社債ETFが 200日移動平均線を明確に上抜いて相場が落ち着くのかどうかである。200日移動平均線を越えられずに再下落するようだと、高リスク商品全体に悪影響が出てくるだろう。

iシェアーズiBoxxドル建てハイイールド社債ETF(日足) バブル相場の指標銘柄=「炭鉱のカナリア」か?自律反発にとどまり再下落するようだと要注意!

上段:21日ボリンジャーバンド
中段:14日RSI
下段:14日ADX

(出所:ストックチャーツ)

PIMCOハイイールド社債インデックスファンド(日足)

上段:21日ボリンジャーバンド
中段:14日RSI
下段:14日ADX

(出所:ストックチャーツ)

10月5日に大統領選の1回目の投票を控えるブラジル市場も動揺(株安・レアル安)している。金融関係者が望んでいた資本主義寄りのネベス候補は3位に転落し、左翼ポピュリストである現職のルセフ大統領とシルバ元環境相の争いになっているが、どちらが勝っても市場は好感しないだろう。ブラジル株がどのような動きになるのかわからないが、NYに上場しているイタウ・ウニバンコ銀行が10ドルを割ってくれば買い妙味が出てくるだろう。ブラジルの株が下がった時のリターンが高いのは金融株だ。

ボベスパ指数(左)とドル/レアル(右の日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(緑)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

イタウ・ウニバンコ銀行 ブラジルの国営企業は買えないが、金融株の安値買いは報われることが多い?

(出所:石原順)

ドル/円相場の売買戦略

<トレンドの発生(保ち合い離れの判定方法)>
26日標準偏差と14日ADXが共に上昇しはじめた時
<新規建玉のポイント>
エントリー(新規注文)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの外に飛び出した時
<損失を限定しつつ利益を伸ばす手仕舞いのポイント>
手仕舞い(エグジット)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの内側に入った時

これが、筆者の順張り取引の「基本形」である。

ドル/円は昨日のNYクローズで、相場が21日ボリンジャーバンド+1シグマの内側に入った。したがって、筆者が長く引っ張っていた日足ベースのドル買いポジションは手仕舞い(利食い)となった。8月18日~8月20日にかけて作ったドル買いポジションをずっとホールドしていたので、「ほっと一息」というのが今の状況である。

ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(緑)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円の週足や月足ベースのチャートを見ると、現時点ではドル高基調に何の変化もない。しかし、日足チャートでここから14日ADXや26日標準偏差ボラティリティがピークアウトするようだと、相場は2週間から1カ月程度の調整相場に移行する可能性がある。ここは慎重に押し目を待ちたいと考えている。

ドル/円(日足) フィボナッチのリトレースメントと移動平均リボン(1∼3カ月の市場参加者のコスト)

(出所:石原順)

ドル/円(週足)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(緑)
下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円(月足)と20か月移動平均線 10月2日現在101円45銭

(出所:石原順)

日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。