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大相場に乗る方法と乗れなかった時の対処法
石原 順
外為市場アウトルック
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大相場に乗る方法と乗れなかった時の対処法

2014/9/11
読者の皆さんは、現在のドル高相場にうまく乗ることができただろうか?「この相場に乗り遅れた」、「上げが速すぎてついていけない」、「値頃感で円買いをして損をしている」という声が多いという。
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相場が速すぎてついていけない

読者の皆さんは、現在のドル高相場にうまく乗ることができただろうか?「この相場に乗り遅れた」、「上げが速すぎてついていけない」、「値頃感で円買いをして損をしている」という声が多いという。今週のレポートでは、「今の動きの速い相場にどう乗ってよいか分からない」という方に向けて、筆者が見ていると、について書いておきたい。相場に絶対の法則などないので、あくまで、「筆者はこう思う」という話である。

相場は酔っぱらいの千鳥足のような動きをする局面が多く、よくランダム・ウォーク(無秩序なふるまい)だといわれるが、相場にも"例外的局面"というのがある。その例外的な局面を、筆者は「トレンド(方向感のある)相場」と呼んでいる。トレンド相場とは、リスクをとっても相場に参入する価値がある相場のことを言う。

この世の誰もが「"正確に"相場を予測することが出来ない」ということは、はっきりしている。では、相場に対しどのようなアプローチをすればよいのだろうか? 試行錯誤をしても明確な答えはない。しかし、逆説的には1つの取引手法が浮上してくる。

それは、相場を予測することをやめて、ひたすら相場についていくことだ。ただし、年中相場についていくと、非常に非効率かつ損失が大きくなる。なんらかの形でトレンド相場(相場に方向性がある時期)と、もちあい相場(相場に方向性のないレンジ相場)の認識をしないと、収益を上げることは困難だ。

トレンドラインのブレイク

もちあい(レンジ)を離れた相場につくのは順張り取引(相場についていく取引)の基本形である。そして、これを最もアナログかつ原始的な形で認識する方法が「トレンドライン」のブレイクであろう。

上昇相場であれば、安値と安値を結んだ支持線、下降相場であれば高値と高値を結んだ抵抗線をトレンドラインと呼んでいる。相場を始めた比較的初期段階で誰もが取り組む行為が、このトレンドラインを引くという行為である。最も原始的なトレンドの認識方法と言ってよいだろう。

相場に有効なトレンドラインを引くためには、3つ以上の安値や高値を結ぶことが重要で、統計的には2ヵ月以上の時間が経過したトレンドラインのブレイクでないと、信頼性は低いと言われている。

ドル/円相場 日足のトレンドライン

青:レジスタンスライン 赤:サポートライン

(出所:石原順)

トレンドラインのブレイクはいわゆる"ダマシ"も多く、トレンドラインのブレイクが相場のトレンド(方向性)の発生を意味するのかどうかもはっきりしない。トレンドの有無を認識しながら、相場のもちあい(レンジ)離れにつくには、他の手法を使って相場に方向性のある時期とない時期を分ける必要がある。

トレンドの有無を判定するテクニカルツールは?

筆者の独断と偏見でいえば、トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカル・ツール(道具)で最も優れているのは、「標準偏差ボラティリティ」「ADX」という指標である。

相場に方向性が出てくると、標準偏差ボラティリティは上昇する。標準偏差ボラティリティが低い位置から上昇する場合は、相場が保ち合いを離れ、強い方向性をもつシグナルとなる。相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は、標準偏差ボラティリティが上昇し、ボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクしたときだ。

当然"ダマシ"もあり、筆者は1年を通した相場で何度も痛い目にあっているが、だまされても±1シグマラインで決済(損切り)するので、壊滅的な損はしていない。何度か痛い目にあってもこの手法を使うのは、年に2回程度は大きなトレンドに発展する確率が高いからである。

筆者は「大相場になるかも?」という期待値から、標準偏差ボラティリティが上昇し、相場がボリンジャーバンドの±1シグマをブレイクした局面ではリスクを取っているのである。一方、標準偏差ボラティリティがピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横這いレンジ内での乱高下相場」となりやすい。

「標準偏差ボラティリティ」と同じような動きをする指標に、「ADX」(方向性指数)がある。ADX(Average Directional Movement Index)は、相場のトレンド(方向性)の強さを測定する指標だ。ADXはRSIやピボット、パラボリックと同じく、J・W・ワイルダーが考案したテクニカル指標DMIの中のトレンド判定指標で、通常はDMIと合わせて使われている。 RSIやストキャスティクスなどのいわゆる逆張り系指標がトレンド相場になると機能しない事から、ワイルダーはトレンドの強さをはかるための指標(ADX)を作った。

「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」が一緒に上昇する局面は、相場が強力なトレンドを持っている。日足にも週足にもトレンドが出ているときは、相場がとなることが多い。大相場になるかどうかの示唆は、週足のADXや標準偏差ボラティリティの動きに依るところが大きい。

相場の美味しいところは、標準偏差ボラティリティやADXが低い位置から上がっていく局面で、これを相場用語では「保ち合い放れ」・「レンジ・ブレイク」・「ボラティリティ・ブレイクアウト」などと呼んでいる。

ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)・55日標準偏差ボラティリティ(緑)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円(週足) 日足も週足もトレンドが同時発生すると大相場になる

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/スイス(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ポンド/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

「損小利大」を実現するには?

「損小利大」という言葉をよく耳にするが、「損小利大」は順張り(トレンドフォロー)取引の目的である。しかし、どうやったら利益が大きくなり、損が小さくなるのかが、具体的に説明してあることはほとんどない。

「損小利大」を実現するには、トレンドを具体的かつ的確に認識し、それに乗っていく必要がある。しかし、大きなトレンドはそう頻繁に発生するものではないので、トレードの勝率は低くなる。勝率の低い手法に耐えられる市場参加者は少ないので、「順張り(トレンドフォロー)取引」で相場にエントリーする人は、実は非常に少ないのが実情である。

相場の損益の決定的な要因は勝率ではない。勝ちトレードと負けトレードの値幅の差こそ重要なのである。もちあい期とトレンド期が区別できなければ、順張りも逆張りも儲かる確率は低くなる。

具体的にみてみよう。楽天FXの【マーケットスピードFX】を使って、

  • ドル/円の日足チャートを表示させる
  • 26日標準偏差ボラティリティを表示させる
  • 14日ADX(DMI)を表示させる

と、以下のような日足チャートが出来上がる。

ドル/円(日足)

上段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)
中段:26日標準偏差ボラティリティ(赤)
下段:14日ADX(黄)

(出所:楽天FX マーケットスピードFX)

  • トレンドの発生(保ち合い離れの判定方法)
    26日標準偏差と14日ADXが共に上昇しはじめた時
  • 新規建玉のポイント
    エントリー(新規注文)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの外に飛び出した時
  • 損失を限定しつつ利益を伸ばす手仕舞いのポイント
    手仕舞い(エグジット)は相場が21日ボリンジャーバンド±1シグマの内側に入った時

これが、筆者の順張り取引の「基本形」である。

「日足ベースの相場に乗り遅れた場合の対処法」は、より短いタイムフレーム(時間枠)を使って、相場についていくという手法も一考であろう。日足でも週足でもトレンドが出ている相場では、1時間、4時間といった比較的短期の取引でも、収益機会が多くなっている。1時間足の相場でも4時間足の相場でも、筆者が使っているパラメータは標準偏差が「26」、ADXが「14」である。

ドル/円(週足)

上段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)
中段:26週標準偏差ボラティリティ(赤)
下段:14週ADX(黄)

(出所:楽天FX マーケットスピードFX)

ドル/円(4時間足)

(出所:楽天FX マーケットスピードFX)

ドル/円(1時間足)

(出所:楽天FX マーケットスピードFX)

ストップロス注文を置かない限り、相場は何時でもこわい

人間の心理は相場で儲ける邪魔をする。「高すぎて買えない」、「安すぎて売れない」という値頃感である。相場のトレンドは、いつも逆張りポイントの先に発生する。つまり、トレンド相場とは、売られすぎ・買われすぎの先に発生するものなのだ。売られすぎ・買われすぎの状況から相場に参入するのは心理的抵抗が大きく、なんらかの準備(テクニカル分析)が出来ていないと、ポジションをとることは極めて困難である。

もっと大きな視点でみると、相場に乗れない最大の原因はストップロス注文を置いてないからだ。「ドル/円相場の107円を買って103円まで下がったらどうしよう」という不安は筆者ももっている。しかし、107円で買って106円80銭にストップロス注文を置いておけば、損失は20銭に限定される。だから、ストップロス注文さえおいておけば、ドル/円が107円であろうと、150円であろうと値段はあまり関係ない。

ストップロス注文を置かない限り、どのような相場局面でも不安は解消されないし、マネーマネージメント(資産管理)は放棄された状態にある。ストップロス注文を置くことは、相場の損失から身を守る唯一の手段である。そのことを多くの人が理解するのは、たいていお金がなくなってからである。人間の心理は損失に耐えられるようにはできていない。だから、ストップロス注文を置いてから、相場に挑戦するしかない。自戒を込めて、ことさらに、そう書いておく。

日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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