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ドル/円は105円45銭を上抜くのか?米雇用統計に注目!
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

ドル/円は105円45銭を上抜くのか?米雇用統計に注目!

2014/9/4
8月28日、英フィナンシャルタイムズ紙は『的を外すアベノミクス』と題して、アベノミクスを酷評した。「安倍晋三首相の3本の矢は明らかに的を外している。理由はそもそも矢が3本ないことで、あるのはたった1本、通貨の下落のみだ。
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消費税10%決定までの年内相場は、なんでもありのPKO相場が展開されそうだ

8月28日、英フィナンシャルタイムズ紙は『的を外すアベノミクス』と題して、アベノミクスを酷評した。「安倍晋三首相の3本の矢は明らかに的を外している。理由はそもそも矢が3本ないことで、あるのはたった1本、通貨の下落のみだ。安倍氏は、小泉純一郎元首相が少なくともそうあろうとした意味での真の改革者ではなかった。安倍氏は将来を見すえるよりも、過去を回顧する政治家だからだ。4番目の矢(数え方によっては2番目の矢)として軍国主義が復活しないように願いたい。安倍氏の本当の関心がそこにあるという兆候がしきりに見える」と書いているが、日本に対しては、の3つを提言した。

金融市場に大きな影響力を持つフィナンシャルタイムズに批判を受けたことで、日本の当局は焦り、黒田日銀総裁が9月1日にブルームバーグの記事でを行った。「黒田東彦総裁は今年4月の消費増税と同様、2015年10月の2回目の消費増税についても予定通り実施することを政府に求める意向だ。同時に、増税で景気が落ち込んだ場合は日銀には対応の余地があるものの、増税先送りで財政再建に対する信認が揺らいだ場合(日本国債売りが起きた場合)はやれることはほとんどないという姿勢を堅持する見込みだ」(9月2日ブルームバーグ)

財務省にとって消費税10%は悲願であるが、海外投資家に見切りをつけられても困る。9月2日には某証券会社が「TOPIX型の裁定買い」と「日経平均先物買い」を入れたことで日経平均が大幅高したが、「消費税増税の延期を回避しようとするPKO的な動きだ」とファンドの運用者は口をそろえている。

日経平均(日足)鬼のいぬ間に(米国が休み中に)、PKOが入り急上昇
消費増税10%決定まではなんでもありの相場か?

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
中段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

7月の日本の消費支出(1世帯あたり)は、前年比で5.9%減少している。2014年度の家計をみると、実質可処分所得は大幅な減少となっており、貯蓄率はマイナスとなっているといわれている。持続的消費拡大には賃金の上昇が必要だが、厚生労働省が発表している7月の毎月勤労統計調査では実質現金給与総額は、13カ月連続でマイナスとなっている。

長引く不景気で給料が伸び悩んでいるのに反して、社会保障や税金の負担は増える一方だ。契約社員、派遣など非正規雇用で働く人が増え、1人当たりの所得も減少している。日本の家計貯蓄率や実質賃金の推移をみれば、消費増税によって日本経済が浮上するのは難しくなるだろう。アベノミクスを支持してきたノーベル賞学者のクルーグマンでさえ、「消費増税は自己破壊的な政策であり、日本の消費増税は戦争と同じようにペイしない愚行」と斬り捨てている。

財務省としては、消費税10%の延期は避けたいし、財政再建に対する信認が揺らいで日本国債売りが起きても困る。「消費税10%決定までの年内相場はなんでもありのPKO相場が展開されそうだ」と、海外勢も年内はPKO相場を想定し、日本株に対して「押し目買い」の姿勢を見せている。株だけを上げている政権はいずれ行き詰まるだろう。PKOの反動が怖いが、日本の国内要因だけを考えると(海外要因や地政学リスクを無視すれば)、その副作用が出るのは来年になりそうだ。

日本10年国債金利(日足) 日本経済の命綱 異次元緩和は金融抑圧政策か?

(出所:石原順)

日経平均(月足) 福井バブルと黒田バブル
消費増税決定(2013年末)まではありとあらゆる株高作戦が駆使される?

(出所:石原順)

ドル/円も急騰し、9月3日には105円30銭まで上昇

日経平均の上昇に合わせるように、ドル/円も急騰し、9月3日には105円30銭まで上昇した。8月18日以降、「半年ぶりのトレンド相場であり、この相場はドル買いで乗るしかない。米雇用統計発表日に高値を付けるという2014年のドル/円相場の循環を考えると、「9月5日(次の米雇用統計発表日)まではドル/円の押し目買いに分がある」と言い続けてきたが、すでに相場は筆者の目先のターゲットである105円に到達した。

筆者はドル買いシグナルが点灯した相場では通常(トレンドのない時)の3倍以上のポジションを持っている。ポジションを持ちすぎた分、ポジションの3分の2は現在利食いに動いている。米雇用統計の数字の良しあしにかかわらず、2014年の相場では雇用統計発表日がドル/円の目先のピークとなっているので、それを重視しての安全策だ。全部利食わないのは、週足でも久しぶりのドル買いシグナルが点灯しているからだ。加えて、ドル/円の月足で大きな保合離れが起こる可能性があり、大相場に乗り損ねるリスクもある。

残り、3分の1のポジションは、21日ボリンジャーバンドの+1シグマ近辺に利食いの逆指値を置いている。相場が21日ボリンジャーバンドの+1シグマ(9月4日現在104円38銭)を相場が維持している限り、強いドル高トレンドは継続されるだろう。

ドル/円(日足) ドル買いシグナル点灯中

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円(日足) 米雇用統計発表日は相場の転換点?

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
中段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

シカゴ投機筋の円のポジション 8月26日現在、102891枚の売り

(出所:石原順)

ドル/円(週足) 久々のトレンド相場、ドル買いシグナル点灯中

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ドル/円(月足)と20か月移動平均線(赤) 大きな保合離れが起こるかどうか?

(出所:石原順)

現在のバブル延命相場の起点は7月10日のと、8月11日のスタンレー・フィッシャー講演

現在のバブル延命相場の起点は7月10日のと、8月11日のスタンレー・フィッシャー講演(大不況‐その後の進展)であることを、ここ3週間のレポートで指摘してきた。概ねどこの株も上がっており、スタンレー・フィッシャー講演以降は、中国、ブラジルなどの新興国株も堅調だ。

NYダウ(日足)現在の株高はスタンレー・フィッシャーとマリオ・ドラギのおかげ

(出所:石原順)

上海総合指数(日足) 米中戦略・経済対話後の相場は保合上放れ

(出所:石原順)

英FT100(日足) 米中戦略・経済対話とスタンレー・フィッシャーの講演で相場が転換している

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

ブラジルBOVESPA指数(日足) 米中戦略・経済対話とスタンレー・フィッシャーの講演で相場が転換している

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

バブル延命相場の恩恵を享受できていないのはロシアとドイツ

バブル延命相場の恩恵を享受できていないのはロシアとドイツである。これは言うまでもなく、ウクライナ情勢が影響している。昨日、ロシアのプーチン大統領は「事態打開に向けウクライナのポロシェンコ大統領に停戦案を提示した」と報道されているが、プーチンのオバマ米大統領への揺さぶりと言われており、和平実現はなお不透明である。そうなると、ユーロはやはり買いにくい。

ロシアRTS指数(日足) 経済制裁が効いている・・

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

独DAX指数(日足) 調整相場

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

欧州10年国債金利の推移 ドイツの金利は1%割れ 日本化(Japanization)か?

長期停滞(潜在成長率の下方シフト)による世界的な金利低下トレンドが続いている

(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足) 売りポジションが溜まっており、1.31手前で足踏み中

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

シカゴ投機筋のユーロのポジション 150657枚の売り

(出所:石原順)

ドル/円は105円45銭を上抜くのか?米雇用統計に注目!

さて、明日は注目の米雇用統計発表日である。非農業部門雇用者数が23万人増、失業率が6.1%の予想となっている。ブローカーの話では、投機筋は、「米雇用統計でドル/円が1月高値105円45銭を超えるかどうかで、利食いかホールドかを決めたい」というファンドが多いそうだ。ドル/円がもう一段高するかどうかは、米国債金利の動きがカギを握っている。米雇用統計を受けて米国債金利が上昇するようなら、ドル/円が105円45銭を上抜いてくる可能性は十分ある。

10%の消費増税決定に向けて、GPIF、郵貯・簡保といったPKO相場が展開されそうだが、ここで株を上げようと思ったら、円安にして輸出企業の業績に下駄をはかす(1株利益を上げる)しかないだろう。したがって、ドル/円は下げても下値ではPKOが用意されている。

米雇用統計の推移 2000年~2014年

非農業部門雇用者数が23万人増、失業率が6.1%の予想

(出所:石原順)

米2年国債金利(日足)

(出所:石原順)

米10年国債金利(日足)

(出所:石原順)

冷戦終了から25年、米国のNATOの東方拡大政策から20年、プーチンは「もし、NATOがウクライナを加盟させた場合、ロシア派ウクライナ東部とクリミア半島を併合するためにウクライナと戦争する用意がある」と以前から警告してたが、ロシアも西側も引っ込みのつかないところまで踏み込んでしまった。したがって、今後も和平と衝突を繰り返すことになるだろう。ロシアへの経済制裁はロシアを資本主義から追い出す動きである。これは、大きく見るとグローバリゼーションの挫折であり、拡大してきた資本主義の縮小だ。現在のが変調をきたすとすれば、それは地政学リスクだろう。

日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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