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時代の変化に伴う「投資の便利」とどうつきあうか
山崎 俊輔
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時代の変化に伴う「投資の便利」とどうつきあうか

2012/8/9
2012年8月1日からほとんどのサイトで株価表示がリアルタイムに変わりました。かつては情報サイトは20分遅れ、証券会社のサイトがほぼリアルタイムという状況でしたから、
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かつて投資は「不便」なものであった

2012年8月1日からほとんどのサイトで株価表示がリアルタイム(1分程度のタイムラグはある)に変わりました。かつては情報サイトは20分遅れ、証券会社のサイトがほぼリアルタイムという状況でしたから、大きな「便利」が投資環境に加わったわけです。今回は投資の「便利」とどうつきあうか考えてみます。

かつて投資は「不便」なものでした。世界大恐慌のきっかけのひとつは、情報伝達の遅れが一因であるという話があるほどですが、そんな昔の話ではありません。ほんの最近まで、投資はとても不便なものだったのです。

いわゆるバブル時代において、投資はよく分からないまま実行する部分が多く(現代に比べて、という意味で)、お任せするウエートが大きいものでした。個人投資家が直接、板(気配値)を覗くことはできませんでしたし、売買注文を自宅から細かく出すことは非現実的なことでした。一般個人にとっては、四季報が3カ月ごとに発売されることと新聞が企業情報の入手しやすいチャネルですから、得られる情報の量も速度も限られたものでした。

今となってはインターネット、高速通信回線、PC、スマートフォンのない投資環境は考えられないことでしょう。しかし、バブル景気の頃であっても、アナログ電話回線にファミコンをつなぐレベルが最新の投資環境だと考えられていたのです(そもそもネット専業証券は20年前には存在していなかった!)。

ところで、こうした「便利」を私たちは十分に活用できているでしょうか。また、こうした「便利」に振り回されているところはないでしょうか。

情報の便利、売買ツールの便利を再確認

この20年で大きく「便利」になったものを、もう少しあげてみましょう。

投資情報

  • インターネットのポータルサイト、証券会社のサイトで企業情報が豊富に閲覧できるようになった(更新も多い)
  • 巨大掲示板や個人投資家のサイト等で投資家の意見や売買手法、情報が多く飛び交うようになった(ただし風説の流布には注意)
  • かつては一部の投資家に印刷のみ(せいぜいFAX)でしか配布されていなかった証券会社のレポートが簡単に入手できるようになった
  • ネットサービスにより投資情報の「検索」「フィルタリング」「並べ替え」が容易になった
  • などなど

売買ツール

  • ネットの売買ツールが普及したことにより、証券マンを介さずに売買ができるようになった
  • 携帯通信端末(スマートフォン)の普及により、自宅でなくても売買注文が可能となった
  • 充実した売買ツールがオンラインで提供されたことにより、板(気配値)がほぼリアルタイムで見られ注文が可能となった
  • 回線速度の向上、安定性の向上により、スピーディーな売買が可能となった
  • REIT、ETF等の投資商品も拡大したほか、投資対象も個人が手を出しにくかった領域に広がりをみせた
  • などなど

この20年の「便利」の変化はいくらでもあげられそうですが、きりがないので今回はこのくらいにしておきます。
なお、譲渡所得に関する課税の見直し(損益通算や特定口座も含む)、証券会社の売買手数料の引き下げ(規制緩和とこれに伴う競争の産物)も忘れてはいけない、個人投資家の「便利」拡大といえます。

「便利」に溺れないようにする

さて、「便利」の変化についていくつか触れてきましたが、本コラムのメッセージはこれからです。それは、2010年代の資産運用は、2010年代の投資環境を前提として考えなければならない、ということです。
それこそ、1990年代の投資指南書は(今にも通底する部分はあれども)基本的に役立たないと考えてみる必要があるわけです。

おそらく、2010年代における投資の難問は「情報が少ないこと」ではなく「情報が多すぎること」であり、「投資環境が悪いこと」ではなく「投資環境が整いすぎている」ことなのではないでしょうか。

私たちはつい、「便利」をフル活用することばかり考えてしまいますが、便利に溺れてしまってはいないでしょうか? これでは本末転倒です。
投資ツールが便利すぎるからと何度も売買を繰り返した結果が損失の積み重ねと売買手数料のみ、となってはいけません(これを便利すぎる投資ツールの罪とするのはおかしな話です)。

「便利」は使いこなすものです。多すぎる情報は自分が必要とする内容であり、自分が管理しうる適切なボリュームに絞り込んでいけばいいのです。また、売買ツールについても非合理的な投機欲を抑えながらその便利を活かしていけばいいわけです。

「今」の投資の便利を使いこなすために

もちろん使いこなしていくためには、経験が必要ですし、失敗もあるでしょう。一度も転ばずに自転車を乗りこなせないように、一度も失敗もせず豊富な投資情報や便利な投資ツールを使いこなせるようになれるはずがありません。

「なんとなく投資」をしている人ほど―特に投資初心者ほど―圧倒的な情報量や便利なトレード環境に溺れがちです。
慣れるまでは少額のチャレンジにとどめるような工夫をし、致命的な損失が生じないようにしてください。

また、「使わない」ものをどんどん選んでいくのもひとつの方法です。すべての投資情報を見ることは不可能ですし、すべての投資ツールを使いこなすことも不可能です。
たとえば、ポータルサイト等のリアルタイム表示についてはあまり必要性を感じないという考え方もあります。中長期を投資スパンと見なす投資家においては、1分前の株価より中長期的視野で評価した企業評価のレポートのほうが重要かもしれません。いろんな情報やツールに触れながら、自分の投資が必要としているものを見極めていくわけです。

慣れてくれば、自分のちょうどいい距離感で投資の便利を使いこなせるようになります。日々追加されている情報やツールもさらにあなたの便利を拡充してくれることでしょう。

投資はこの数十年でとても便利な環境を得ました。しかし、便利に溺れている状態は、あたかも投資の奴隷となっているのと同じです。便利を使いこなし、投資をあなたの支配下におけるようにしていきましょう。そのときこそ「なんとなく投資」から一歩ステップアップした瞬間といえるでしょう。

投資の便利は拡充する一方だが

便利に溺れず便利を使いこなす

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