日本株は買いのタイミングが重要

3月11日の大震災および原発事故で2,000円ほど急落した日経平均株価もその後のリバウンドで急速に値を戻しました。しかし、その後は狭いレンジ内で膠着した値動きとなっており、方向感がつかめない状態です。個別銘柄に目を向けると、年初来高値更新を続けて強い動きのものがある一方、年初来安値を更新する銘柄もあり、値動きがバラバラでやりにくい相場です。

ところで、右肩上がりの上昇相場でない今の日本株では、買いのタイミングが重要です。筆者が考える買いのタイミングとしては主に3つあります。

(1) 売られすぎの場面でのリバウンド狙いの買い
これは最近でいえば3月15日近辺でほとんど全ての銘柄が急落した局面が該当します。

(2) 上昇トレンド入りが確認できた場面
「移動平均線上向き+株価が移動平均線の上」という状態になってできるだけ早く買うのが上昇トレンド初期に安く買い仕込むポイントです。

(3) 新高値更新・直近高値更新の場面
高値更新は上昇トレンドが継続し、株価が強い動きを続けていることを示す重要なサインとなります。

膠着相場は絶好の買いタイミングが到来しない

ところが、最近のような膠着相場ではなかなか絶好の買い時が現れないのが実情です。

膠着相場では個別銘柄もあまり大きな値動きはせず、狭いレンジを行ったり来たりします。そのため(1)のような「売られすぎ」の状態にはなりません。中には急落して売られすぎの状態になる銘柄もありますが、そうした銘柄は何か悪材料が内包されている可能性があるため、注意が必要です。

また、膠着相場では(2)の上昇トレンド入りが確認できた銘柄や(3)の直近高値更新の銘柄を買っても、その後株価が全く上昇せず、逆に下落してしまうことがよくあります。

上昇相場であれば、上昇トレンド入りを果たした銘柄や直近高値を更新した銘柄はその後大きく株価が上昇するのが通例なのですが、膠着相場の場合は上昇トレンド入りしたかと思ったらその後下降トレンドに戻ってしまったり、直近高値を更新してもその後伸び悩んでしまいます。

膠着相場では無理をしないのが一番

このように、膠着相場ではなかなか投資成果が期待できないのが実情です。無理に利益を狙いにいっても儲けることができず、結局はストレスと小幅な損切りだけが積み上がっていく一方です。

膠着相場では、その後株価が上に行くか下に行くか分からないのですから、今後の株価上昇に賭けて大量に買い仕込むのはリスクの高い行為です。

もし、新規に買うのであれば、上昇トレンドが続いている強い銘柄に絞って、かつ投資資金は抑え気味にしておくべきです。

保有株については、筆者であれば3月15日近辺に安く仕込むことができたような銘柄は、3月15日の安値を割り込まない限り保有します。あるいは、週足チャートでみて上昇トレンドが続いている限りは保有し、下降トレンドに転換したら売却、という戦略でもよいと思います。

膠着相場の終焉はどうやって見極めるか

膠着相場はいつまでも続くわけではありません。遠くない将来に上昇相場もしくは下降相場に移行します。それを見極めるために筆者が注目するのが以下のような点です。

日経平均株価やTOPIXの直近高値・安値更新

各個別銘柄の集合体である日経平均株価やTOPIXの値動きはやはり相場の方向性を表します。したがって、日経平均株価やTOPIXが直近高値(日経平均株価:10,017円47銭 TOPIX:866.65)を超えてくるようならば、上昇相場入りしたと考えてよいのではないかと思います。逆に、直近安値(日経平均株価:9,406円04銭 TOPIX:812.52)を下回ってくれば、3月15日の安値に対する二番底を探りにくるかもしれませんから要注意です。

新高値銘柄数や新安値銘柄数

新高値銘柄の数が増加してくれば、株価の動きが強い銘柄が増えていることを示しますから上昇相場入りのサインとなります。現在は10~20銘柄程度ですが、これが50、100と増えてくるようなら上昇相場入りとみてよいでしょう。逆に新安値銘柄数が50、100と増加してきたならば下降相場入りを警戒しなければなりません。

今後明確な上昇相場入りとなったならば、日足チャートで上昇トレンド入りした銘柄や直近高値超え銘柄を積極的に狙い、下降トレンドにある銘柄さえ避けていればよいと思います。

逆に今後下降相場となり、3月15日の安値に対する二番底を形成するのであれば、できるだけ新規買いを避けるようにし、売られすぎの状態になれば多少買ってみる、そして株価下落後の株価の動きをみて上昇トレンド入りが確認できた時点で本格的に買っていけばよいでしょう。