明けましておめでとうございます。本年も皆様に有益となる知識・情報の提供に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
今回は2011年に入って初めてのコラムですので、筆者なりに2011年の投資戦略を考えてみたいと思います。

現在の日本株は上昇トレンド

この原稿を書いているのは1月3日ですが、筆者は現時点での日本株には強気の姿勢です。

「日本株の流れが変わった」と感じたのは昨年の11月4日です。アメリカの追加金融緩和(QE2)の発表があった翌日です。それまで、東証1部の新安値銘柄が数百銘柄にものぼり、明らかな下降トレンドであった個別銘柄の多くが、11月4日には終日強い動きをみせたことで「今までと違う」と直感的に感じました。11月中旬以降、日足チャートでみた個別銘柄の株価のトレンドが次々と上昇トレンドに転換していくのをみて、日本株の(少なくとも短期的な)上昇トレンド入りを確信しました。

その後多くの銘柄で日足チャートだけでなく週足チャートでも上昇トレンドに転換し、現在に至っています。週足チャートでの上昇トレンドが終わらない限りは日本株への強気の姿勢を維持するつもりです。

過剰流動性によるバブル相場がどこまで続くか

日本株を含め、現在の世界的な株価上昇は、アメリカ発の過剰流動性がもたらすバブル相場であるといわれています。一方で、世界経済の実態を考えると株価がこれ以上大きく上昇することは考えにくく、逆に欧州危機の爆発などを引き金とした大きな下落にこそ注意をすべきだ、と警告を発する専門家も多く見受けられます。

しばらくは、「過剰流動性によるバブル相場」という株価上昇要因と、「本格的な回復には程遠い実体経済の弱さや欧州危機の爆発」という株価下落要因との綱引きになるのではないかと思っています。

そして、現時点では前者の力が勝っているといえます。筆者自身、将来の株価下落につながる懸念材料はもちろん気になりますが、株価が上昇トレンドを続ける間は強気を維持すべき局面ではないかと考えます。

アノマリーにも注目

また、アノマリー(理屈では説明できない傾向・法則)にも要注目です。

今年は卯年ですが、「卯跳ねる」と言われるように、卯年は株価が上昇する確率が高く、戦後5回中4回上昇しています。

そして、今年はアメリカ大統領選挙の年の前年です。戦後、アメリカ大統領選挙の年の前年にアメリカ株が下落したことは一度もありません。これは、選挙対策のため大規模な経済政策を行って景気浮揚を目指すためと考えられますが、16回連続で株価が上昇しているとなると、単なるアノマリーだけでは片付けられない気がします。アメリカ株が上昇すれば、日本株にもプラス要因となるのはいうまでもありません。

日本株が大きく上昇するための原動力とは

日本株が変動する大きな要因として、「為替相場(特に米ドル・円相場)」と「長期金利」が挙げられます。現在円高トレンドとなっている為替相場が明確に円安トレンドに転換すれば、日本株には非常に強力な追い風となります。長期金利の上昇も、日本株上昇の原動力になります。

前回のコラムでも書きましたが、現在の日本のような超低金利下においては、投資の教科書に書かれているような「金利上昇=株価下落」ではなく、デフレ脱却による景気本格回復への期待から「金利上昇=株価上昇」となるはずです。

もし、円安と金利上昇が本格的に起きれば、過剰流動性バブルが終わっても、日本株の上昇が続く可能性も大いにありえます。その意味でも、為替相場と金利動向に要注目です。

下降トレンド転換なら一旦下りる勇気も

将来を正確に予測することはできません。したがって、株価が上昇するというシナリオを立てて行動したとしても、株価がそれと反する動きになったならば、臨機応変に軌道修正することが重要です。それには移動平均線と株価の位置関係からトレンドを察知することが有効です。

株価が移動平均線の上方にあり移動平均線も上向きなら上昇トレンド、逆に株価が移動平均線の下方にあり移動平均線も下向きなら下降トレンドです。

現在は多くの銘柄で日足チャート(25日移動平均線)だけでなく週足チャート(13週移動平均線)でも上昇トレンドになっています。この上昇トレンドが続く限りは問題ありませんが、今後これが下降トレンドに転換したならば、中長期的な株価上昇というシナリオは崩れてしまいますから、持ち株は一旦売却して次のチャンスまで待つべきでしょう。

色々な人の相場見通しを聞くと、逆に混乱してしまい、結局どうしたらよいのか分からなくなってしまうものです。また、誰の見通しが正しいのかは事前には分かりません。それならば、株価チャートをみて上昇トレンドなら買い、下降トレンドに転換したなら売り、そして損切りをしっかりと実行する、この簡単なルールさえ守るようにすれば、大ケガをせずに投資成果を向上させることができるはずです。