先物市場の創設は盗難防止の機運を生む
こうした仕組みを導入することで、流通段階における盗難品の排除、トレーサビリティの強化、円滑な流通が実現できると考えられます。もともと先物市場には、公正な価格の発見、現物調達手段の多様化、ヘッジ機能の提供、投資機会の創出などの役割があります。
これらの役割を金属スクラップ先物市場(仮称)が強く果たしていくことで、日本に正しく管理された流通経路や価格が生まれ、それが抑止力となって、社会問題になっている金属盗難を減らすことができると考えます。
図:金属スクラップ先物市場の創設の意義
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冒頭で述べたとおり、米国における自動車排ガス浄化装置の盗難件数は、貴金属価格が下落してもなお、高水準のままです。日本においては、価格が高騰していても盗難を減らすことができる仕組み作りを行っていかなければなりません。それには、業界を横断した動きが必要不可欠です。
ある意味、金属を買い取り、溶解して形を変えることは「作る」ことであり、それを使用することは「使う」ことだといえます。そもそもこの金属盗難の問題は、実はSDGsのテーマの一つである「作る責任・使う責任」と深く関わっているといえます。
実は、金属窃盗を食い止めようとする全体的な動きは、盗難件数の減少や正しい品の流通を促進することだけでなく、国際的な発信力を強めることにもつながります。盗難が増えているというピンチを、チャンスに変えていけるよう、横断的な取り組みが期待されます。
[参考]コモディティ関連の投資商品例
海外ETF(上場投資信託)(NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)成長投資枠活用可)
インベスコDB コモディティ・インデックス・トラッキング・ファンド(DBC)
iPathブルームバーグ・コモディティ指数トータルリターンETN(DJP)
iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト(GSG)