理由その3 FRB利下げ

1990年以降の米FF金利と最後の利上げから最初の利下げまでの日数

出典:Bloombergより楽天ウォレット作成

 もう一つはいよいよFRBの利下げが近くなってきたことだ。BTC相場は2020年ごろからヘッジファンドを中心とした一部の投資家がインフレヘッジとしてポートフォリオに組み入れ始めたこともあり、米金融政策に非常に反応するようになった。

 要は米ドルの代替資産として投資するので、米ドルの価値の上下に左右される訳だ。2021年11月のピークはFRBがテーパリングを開始した時期と一致するし、2023年の上昇のほとんどはFRBの金融政策で説明可能だ。

 そして、いよいよ今年後半にはFRBが利下げに転じ、BTCはもう一段上昇することが期待されている。1990年以降、連続利上げ打ち止めから最初の利下げまでの最長期間は449日、今回で言えば2024年10月ごろとなる。

 ちなみに、FRBが利下げに転じる理由は景気が後退するからではない点にも注意が必要だ。GDP(国内総生産)と同様、FRBは政策金利を実質金利で見ている。実質金利は名目金利-インフレ率なので、今後、インフレ率が下がれば実質金利が上昇し、引き締め過ぎとなる恐れがあるので、インフレ率の低下に従って名目金利を調整する必要がある。

 そのため、現在のペースでインフレ率が低下していけば年内のいずれかの時期に利下げに踏み切る可能性が高い。

理由その4 民主党の暗号資産シフト

 今回は11月の選挙結果による場合分けをやめ、2025年のピークを22.5万ドル(3,500万円)に一本化した。この背景には、ETH ETF承認などにみられる民主党の暗号資産シフトが挙げられる。

 これまで民主党は暗号資産にネガティブだったが、全米で5,000万人ともいわれる暗号資産ユーザーを敵に回しては選挙戦は戦えないと、11月の選挙で改選予定の議員を中心に方針転換を求める声が強まったことがきっかけとみられている。

 トランプ陣営がバイデン政権の暗号資産敵視政策を止めさせるとし、暗号資産での寄付を受付けるなど親暗号資産色を強める中、バイデン政権も当初否認されるとみられていたETH ETFを鶴の一声で承認に転換させ、暗号資産での寄付受付を検討するなど、ユーザーの支持の取り合いの様相を呈してきた。

 詳しくは別稿に譲るが、こうした中、11月の選挙で民主党が勝ってもネガティブには働かないと考える。

まとめ

 以上まとめると、ETFの影響で半減期時の価格が予想の5万ドルから6.5万ドルに上振れた。前回2020年の半減期ではピークは半減期の7.7倍。半減期の影響は1/2~1/3となると考えると今回はおおよそ2.5~3.5倍。ETFの第2波が来そうであること、年後半に利下げが始まる可能性が高いことから、半減期の3.5倍と想定。

 民主党が反暗号資産姿勢を改め始めたことで場合分けを改め、11月の選挙でどの党が勝とうが、半減期6.5万ドル3.5倍、155円換算で3,500万円が来年のピークと考える。