日銀、国債買い入れ減額は既定路線!?減額規模や今後の出口戦略が焦点

 13~14日の日銀金融政策決定会合では、追加利上げはないとの見方が大勢ですが、国債買い入れの減額が期待されており、どの程度の減額規模なのかが注目されています。

 植田和男総裁は6日の参議院財政金融委員会の答弁で、「今後、大規模な金融緩和からの出口を進めていく中で、減額することが適当だ」と述べていることもあり、市場も今回の会合での減額を期待しています。そのため減額なしの場合は失望感から円安となることが予想されます。

 減額されても規模が小さかったり、その後の減額方針が示されなかったりした場合にも円安になることが予想されます。

 逆に、減額規模が小さくても、その後の減額方針が示されれば、円高に反応する可能性があります。

 ただ、追加利上げについて慎重姿勢であれば、金融緩和からの出口戦略については総じて慎重であると受け取られ、その失望感から円安の方が上回ることが予想されるため注意が必要です。

日米金融政策の構図に変化なければ、円安地合い続く

 このようにFOMC後のパウエル議長の記者会見や、日銀会合後の植田総裁の記者会見で、円高あるいは円安に振れることもあります。

 しかし、日米の金融政策の構図が変わらなければ、これらの動きは一時的な動きになると思われます。

 つまり、今回の会合で、

  • FRBは、利下げ方針は維持しても、利下げ時期は慎重姿勢
  • 日銀は、国債買い入れ減額や追加利上げなど、金融緩和方針からの転換はかなりの慎重姿勢

 と確認された場合、記者会見などで一時的に円高に振れても、この構図が変わらなければ、再び円安地合いに戻りそうです。ただし、介入警戒感もあり、円安の勢いも減退していくことが予想されるため、

 1ドル=160円超えは遠い水準になっているかもしれません。

 構図が変わるとすれば、FRBが今年末近くよりできるだけ早い時期に利下げに踏み切ったときか、日銀が慎重姿勢から積極姿勢の方針を発信するときと想定されます。円高に動くとすれば、いまだ米国要因によるところが大きいかもしれません。

マクロン仏大統領の解散選挙の「賭け」でユーロ上値重く

 欧州が揺れ始めています。先週6日のECB(欧州中央銀行)の利下げ後、ラガルド総裁が今後の利下げは約束しないと発言したことによってユーロ売りとはなっていません。

 しかし、米雇用統計(ドル高)と欧州議会選挙(政局不安)の結果を受けてユーロの上値が重たくなってきています。

 欧州議会選挙で極右勢力(EU(欧州連合)懐疑的、移民抑制)が躍進したことから、フランスのマクロン大統領は議会下院解散し、選挙を決断しました。6月30日が第1回投票、7月7日が決選投票とのことです。

 極右勢力を早めに抑えるために、決選投票では極右の票が伸びにくいとの計算からマクロン大統領は決断したとのことですが、「マクロンのギャンブル」ともいわれており、マクロン大統領の思惑通りに進むかどうかは不透明な状況となっています。

 来月26日からパリでオリンピックが始まりますが、その前にフランス政局が混乱する可能性があります。そのことを嫌気して、ユーロの頭が重たくなっているようです。

 6月に入って、欧州の政局混迷が一挙に相場材料として浮上してきました。政治混迷というユーロ売り材料がどの程度影響するのか現段階ではまだ分かりませんが、先行き不透明感からユーロの頭が重たくなる相場地合いは続きそうです。

 ユーロが売られれば、ユーロ円も下がり、ユーロ円の円高がドル円の円安を抑制する可能性があるため、ユーロ円の動向に注目する必要があります。