今日の為替ウォーキング

今日の一言

型破りな結果を残したいならば、まず基本となる「型」を勉強しなくてはならない。勉強するだけではなく、実践して自分のものにしなければならない

More Than A Feeling

 ECB(欧州中央銀行)は、来月6月の会合で利下げを決定することはほぼ確実である。しかし、その後も利下げするかどうかはまだ不透明だ。

 ナーゲルECB理事は「たとえ6月に金利を下げたとしても、それは利下げサイクルの開始を意味しない」と述べている。さらに「もし物価の安定が脅かされるようなことがあれば、ECBは抜かりなく対処すべきである」と、場合によっては利下げが6月の1回だけで終わることも示唆した。

 しかし、欧州経済にとって目先の多少のインフレ上昇は、将来のインフレ低下と成長率向上の代償である。流通網の強化やグリーンエネルギーへの移行、あるいは人口動態の変化による労働力不足の解決など、ユーロ圏の潜在成長率を高める政策を推進するためには、短期的な物価上昇圧力を許容する準備が必要なのだ。

 ナーゲル理事のようなタカ派的発言は、短期的にはユーロ高を支えるかもしれないが、インフレ抑制のために欧州の経済成長を犠牲にすることさえ厭わないという意見は非常に危険である。このような考えを持つ理事がECB内に存在しているという事実は、中期的に大幅なユーロ安要因になるリスクを孕む。

 ECBは2年前、インフレは一過性と判断ミスをしたために、その後大幅かつ急速な利上げをしなければならなかった。今は逆に、インフレはまだ下がりきっていないと考えて利下げをためらっている。そのためらいがリセッションを発生させて、今度は逆に大幅かつ急激な利下げに追い込まれるリスクがある。

出所:楽天証券作成

今週の注目経済指標

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