ニューヨークダウが3万3,000ドルに下落すれば、日経平均株価は3万1,369円まで下落する

 試算結果は図表5と図表6に示した通りですが、最初に指摘しておきたいことは、そもそも足元の株価水準(4月末3万8,405円)は、図表1と2で紹介した推計結果からすると、すでに2,000円程度オーバーシュートしている可能性があるということです。

 昨日(5月7日)の終値も3万8,835円と、偶然にも4月末値とほぼ同じ水準ですが、これが理論値に比べ2,000円程度高いとするならば、そのオーバーシュート分が自然と調整される、いわゆるヘルシーコレクションが発生する可能性があります。

 その上で試算結果を見ると、ニューヨークダウが3万3,000ドルに下落するケース(1)では(図表5)、2024年末に日経平均株価は3万1,369円(2万9,719~3万3,020円)と、4月末値(あるいは昨日の引け値)から6,400円程度下落するという結果になりました。

<図表5 ニューヨークダウが3万3,000ドルに下落した場合の日経平均株価(ケース(1))>

(注)点線が試算結果。シャドーは±標準誤差。
(出所)Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

ニューヨークダウが3万ドルに下落すれば、日経平均株価は2万8,275円まで下落する

 また、ニューヨークダウが3万ドルまで下落するケース(2)では(図表6)、日経平均株価は2024年末2万8,275円(2万6,624~2万9,925円)と、4月末値(あるいは昨日の引け値)から9,500円程度下落するという結果になりました。

<図表6 ニューヨークダウが3万ドルに下落した場合の日経平均株価(ケース(2))>

(注)点線が試算結果。シャドーは±標準誤差。
(出所)Bloomberg、楽天証券経済研究所作成

 改めて言うまでもないことですが、以上は予測ではなく、米国株価が急落した場合に日経平均株価がどのくらい下がるかというシミュレーションの結果です。言ってみれば、日経平均株価のストレステストです。

 前提の置き方次第で結果がいか様にも変わり得るという点には留意が必要ですが、とはいえ、米国株価が景気悪化を織り込んで急速に下落した場合の日経平均株価へのインパクトは決して小さくないということを、ある程度根拠のある数字をもって示せたとは思います。

 株価に内在する価格変動リスクから目を背けるのではなく、冷静にそれを認識した上でどのようにヘッジを行っておくか、これが重要なポイントであり、それこそがこのレポートで最も指摘したかった点でもあります。