ビットコイン相場は予想しやすい?

 BTCが200万円台前半だった昨年1月、BTCは約2倍の年末400万円になると予想した。当時は思いきった予想をしたつもりだったが、実際には2倍どころか3倍の600万円台に上昇、今から思えばやや保守的な予想だった。

 とはいえ、FTX破綻直後の暗号資産冬の時代真っただ中で、「夜明け前が一番暗い」と相場の底打ちをピンポイントで指摘、業界の問題とBTCとは別物とし、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策転換を理由に相場の反転を予想するなど、方向感は間違っていなかった。

 予想より上振れた要因はETF(上場投資信託)の登場だ。昨年初にはしばらくは難しいと思われた現物ETFが、2023年6月のブラックロックの申請により流れが変わり、さらにSEC(米証券取引委員会)の否認を不服としたグレースケールの行政訴訟でSECが敗訴したことが決定打となった。

 最近でこそ知れ渡るようになったが、小職は早くより半減期による供給面から見た4年サイクルを提唱、2021年のピーク800万円と年末500万円をほぼ的中させた。翌2022年はメイン360万円、サブ180万円に下落すると予想、2022年末はその間の約220万円に着地したが、予想の幅が広すぎたせいか微妙な結果となった。

 そこで2023年末は400万円に上昇するとピンポイントで予想、約600万円で着地。水準自体には誤差はあるが方向感は3年連続で的中している。

 筆者はかつてメガバンクで為替のインターバンクディーラーだった経験からして、為替で年単位の相場を何年も当て続けるということは容易ではない。その為替と比べて、供給量がプログラムで決められているBTC相場は予想しやすいと考えている。

 例えば、過去の例では4年サイクルでは半減期のボトムのおおむね3倍となっている。2021年11月のボトムにはドル価で約1万5,000ドルだったので、次回半減期が到来する2024年4月には4万5,000ドルに上昇すると想定、2023年末は3万ドルと予想した。

 結果は、前述のETF承認で上ぶれした。このように、供給面から見た半減期を巡る4年サイクルに、需要面の要因を加味してファインチューニングしていけば、BTC相場はある程度、予想できると考えている。

供給面から見た見通し

 BTCに限らず市場における価格は需要と供給によって決定される。市場とは価格を変動させることによって需要と供給の数を合わせる仕組みだからだ。そして供給が4年ごとに半分になるBTCの価格は4年サイクルを描く傾向がある。

この供給サイドに着目したサイクルは以下の通りだ。

  1. 半減期をスタートとすると、そこから半年から1年は半減期により採算が悪化したマイナーの投げ売りや期待先行の買いポジションの解消売りなども加わって低迷する。
  2. 半減期より半年から1年経過すると、そうした混乱が一巡、供給減が効いてきて価格が急上昇を始め、半減期より1年から1年半後にピークを迎える。
  3. この過程でオーバーシュートし、ピーク時より1年から1年半かけて下落する。
  4. そして半減期より2年半前後経過したところでボトムをつけ、そこから次の半減期への期待感で上昇する。

 BTCは、このサイクルを繰り返し、今は3周目。半減期からピークまでの上昇倍率は初回2012年が約90倍、2回目2016年が約30倍、3回目2022年が約8倍と、おおむね3分の1となっている。

 これは半減期による供給減は2分の1ずつとなるが、発行残高は増えていくので、発行残高に対する供給減の影響が約3分の1ずつに減少しているからと考えている。今回は半減期の水準の2.5~3倍程度まで上昇すると見込んでいた。

半減期・ピーク・ボトムの時期と水準

CoinMarketCapより楽天ウォレット作成/赤字は予想

 2024年4月ごろとされる半減期の水準について、従来は4~5万ドルと予想し、その2.5~3倍として、ピークを10~15万ドルと予想していた。

 しかし、今回のETFの登場と投資家のすそ野拡大効果で、半減期の水準は5万ドル、半減期後のピークも5万ドルの2.5~3. 5倍で12.5~17. 5万ドル程度に上方修正した。時期は半減期から1年から1年半後、2025年4月から10月の間ということになる。

 上記はあくまで供給要因による予想、すなわち価格決定要因の半分によるものだ。これに需要要因を加味して調整する必要がある(ETFの登場という需要要因による修正はしている)。