日本の株価・地価・物価・賃金は国際比較で「割安」

 2023年の日経平均は、1年間で28.2%上昇し、12月29日の年末の終値は3万3,464円をつけました。11月24日に一時に3万3,817円をつけバブル後の戻り高値を更新した後、年末にかけて堅調に推移しました。

 日経平均が史上最高値(1989年12月29日の終値3万8,915円)に近づくにつれて、「バブルだ、もと来た道だ」と警鐘を鳴らす人もいます。私はそうは思いません。日本株は割安で、日経平均は2~4年で4万円まで上昇すると予想しています。

 日本株がバブル相場だった1989年と今では、日本企業の財務内容・収益力・ビジネスモデル・ガバナンスがまったく異なります。日本株のPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)は当時に比べて低く、配当利回りは高くなりました。日本株は当時と比べて、格段に割安になったと判断しています。

 34年前、日本の株価・地価・物価・賃金は、国際的に比較して極めて「高い」水準にありました。東京の生活費は世界一高く、日本人の賃金は国際比較で極めて高いと言われていました。

 株価も不動産も、PERやイールドで説明できない高値にありました。

 今は、その逆です。株価・地価・物価・賃金は、国際的に比較して「割安」になっていると思います。割安な株価と、経営改革が評価されて、日経平均は4万円に向けて上昇すると予想しています。

日経平均(年次推移):1973~2023年

出所:QUICKより作成。グラフは日経平均株価、予想PERは東京証券取引所の平均。楽天証券経済研究所が作成

 1973年当時、日経平均は5,000円前後でした。東証一部のPERは約13倍でした。この時の日本株は「割安」でした。

 ところが、その後、日経平均はどんどん上がり続け、1989年(平成元年)末には終値3万8,915円の史上最高値をつけました。この時、東証一部のPERは約70倍まで上昇し、10~20倍が妥当と考える世界の常識をはるかに超えた「バブル」となりました。

 バブルは、平成に入ってから崩壊しました(1989年=平成元年)。ただし、「平成の構造改革」で復活した日本株は2009年以降、再び、上昇トレンドに戻りました。今、東証プライム市場の予想PERは約15倍に低下し、再び割安になったと判断しています。

 私は「日本株は割安で長期的に良い買い場を迎えている」と考えていることをいつもお話ししています。ただし、割安な株を買えば、いつでも上昇するというわけではありません。

 世界景気の変動に伴って、世界景気敏感株である日本株は、外国人の売りや買いによって急落・急騰を繰り返します。したがって、リスク管理は大切です。時間分散しながら、日本株に投資していくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。