資産が減っていく状態を避けるには?

 では、どうやって避ければよいのでしょうか?

 まず、現時点において、(図1)の春・夏・秋・冬のどこに位置しているのかですが、「秋」と判断しています。「夏」から「秋」に変わるタイミングは、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)が前年比でピークアウトしたタイミングで計っていて、次のようになっています。

(グラフ1)日経平均株価と予想EPSの前年比増減率

*予想EPSは、来期予想と再来期予想を独自に調整し、5週平均したものを用いています。
*丸印は予想EPSがピークアウトした時期。そのうち、赤丸は、ファナックの四半期ごとの決算において売上高、棚卸資産がともに前年比でプラスになった以降で最初にピークアウトした時期
出所:IFIS提供データを基に、マネーブレインが独自分析し作成

 このグラフにおいて、赤丸で示した時期が「夏」から「秋」に変わるタイミングで、直近では2021年10月に出現しています。「秋」は、株価がどんどん上昇するというのは止まって、よくて横ばいという局面です。

 通常、「秋」の次には「冬」があります。「冬」は企業業績が実際に悪化してくる時期で、とくに「冬の前半」に、過去においては大きな下落が起こっています。

「冬の前半」から「冬の後半」に移るタイミングは、(チャート1)のファナックの在庫循環から計る買いタイミングとしていて、現時点では、次のタイミングは来年の4月下旬になるのではと推測しています。

(チャート1)をみると、買いタイミングの前の「冬の前半」に大きな下落があり、買いタイミングが現れた後の「冬の後半」は、おおむね日経平均の底値圏になっていることがみて取れると思います。

 時系列でみると、次のようになります。

2021年10月から「秋」…現金比率を高める時期
 ↓
現在
 ↓
?年?月から「冬の前半」…大きな下落がある可能性が高い時期
 ↓
2023年4月下旬(現時点での推測)から「冬の後半」…投資比率を高める時期

 このため、今は既に投資比率を下げ、現金比率を高めておく時期になっていて、私自身は少なくとも50%は現金にしておいたほうがよいと考えています。

 短期でどうこうせずに、ゆったりと景気循環に伴って投資比率を変えていくのであれば、この先、「冬」にならずに「夏」に戻る可能性もあるので、現時点で投資比率を25%にして、大きな下落があったら50%に増やし、ファナックの在庫循環から計る買いタイミングが現れたら100%にするという形もよいでしょう。

 大きな下落に巻き込まれるのはどうしても嫌だということであれば、今の時点で現金を100%にして、ひたすら買いタイミングを待つというのもありでしょう。

 この買いタイミングは、ITバブル崩壊があろうがリーマンショックがあろうが良い時期を示してくれています。このため、次の買いタイミングも日経平均の底値圏を示してくれるものと考えています。

 それまでは慎重姿勢を取り、少なくとも50%は現金化して資産を大きく減らさないように備え、次の買いタイミングの出現を待つ時期と考えていますが、いかがでしょうか?

 投資はあくまでも自己責任で。