6月見通し
材料面から見た6月見通し
こうした中、6月のBTC相場はどうなるだろうか?
先ほどの金利見通しが動き出したのが5月13日のボウマンFRB理事のコメントあたりから。それまで市場が、6月利上げ見送りをほぼ10割織り込んでいたのに対し、利上げの可能性を示唆し始めた。その後もメスター氏、ローガン氏、ブラード氏と地区連邦準備銀行総裁のタカ派な発言が続き、6月利上げ織り込みはぐんぐんと上がっていった。
いったん、利上げ方向に市場が動き始めると、パウエル議長のハト派発言でも止まらず、ついには7割織り込むに至ったが、ブラックアウト入り直前の31日に次期副議長に指名されているジェファーソン理事のスキップ発言で2~3割水準に戻った。
こうしたFRB高官の発言には、ある程度共通点がある。タカ派もハト派も今後数週間のデータ次第と条件を付けている点だ。すなわち、6月FOMCの前日にCPIが発表されるので、その数字を見ないと判断がつかないということである。
これに対し、市場が5月前半は利上げ見送りを織り込み過ぎると、FRBから修正のタカ派コメントが入り、逆に利上げを7割織り込んでしまうと、それは行き過ぎだとハト派のコメントで修正が入っている格好だと考える。
過去50年間の米CPIとFF金利
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現時点では結論が出ないので、市場の心理が揺れ動くという点は、9月以降の利下げのタイミングについても似ているかもしれない。FRBは頑として年内利下げを否定している。これは1970年代の第1次オイルショック後のインフレ対応に対する反省だ。
インフレが下がり切る前に利下げをしてしまった結果、インフレが5%前後で下げ渋り、人々の期待インフレが下がり切らないまま、次の第2次オイルショックが到来した結果、さらに厳しく長いスタグフレーションを招いたからだ。
これに対し、市場は、そうは言っても利上げや金融不安の影響で景気が悪化し、早晩利下げに踏み切らざるを得ないと考えており、FRBの景気の見通しが異なる。では、どちらが正しいのかは、もう少し先になってみないと分からないので、市場のセンチメントは揺れ動くわけだ。
9月に利下げする可能性あるが
過去50年間の米CPIと実質金利(FF金利-CPI)
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実は筆者は早ければ9月にも利下げがあり得ると考えている。ここにきてようやく政策金利がCPIを上回った。実質金利がプラスになったわけだ。そのインフレ率を使用するのかという議論は残るが、CPIベースでも実質金利がプラスになったことで、金融政策の引き締め効果が効きやすくなっているからだ。
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また金融不安が景気に与える影響にもタイムラグがある。1997年11月の北海道拓殖銀行の破綻時を受け、1998年第1四半期に大きく景気が落ち込んだ。また1998年11月の日本長期信用銀行の破綻の影響は、1999年第1四半期に出た。
2008年9月のリーマンショックの影響は、2008年の第4四半期と2009年第1四半期に出ている。このパターンで行けば、今年3月から4月の金融機関の破綻の影響は、6月から7月にかけて発生すると考える。
すると7月から8月に指標に表れ始め、早ければ9月にも利下げに踏み切る可能性があると考えるが、6月時点ではそうした兆候はまだ見られない可能性が高く、結局、5月のような決め手に欠ける展開がもう1カ月続きそうだ。
暗号資産政策が争点に
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そうした中、少し面白い動きも出てきた。共和党の有力候補とされるデサンティス・フロリダ州知事が、立候補表明でBTC支持を訴え、バイデン政権はBTCを禁止しようとしていると非難した。民主党のケネディ候補もBTC支持を表明している。このように現政権の暗号資産に後ろ向きな姿勢が、大統領選の争点になりつつある。
また香港が個人向けの暗号資産取引業を解禁したことを、中国国営のCCTVが紹介した。BinanceのCZ氏によれば、これは中国政府の暗号資産に対する態度の変化の兆しで、強気相場につながる可能性があると指摘。北京市はWEB3のホワイトペーパーを発表した。
中国政府は、2021年にマイニングを国内から追放するなど、暗号資産に厳しい態度をとってきた。偶然かもしれないが、米国の姿勢が厳しくなるにつれ、中国が緩和に動き始めており、両国の覇権争いがこうした部分にも表れて興味深い。
テクニカル面もあわせた6月見通し
BTC/JPY 一目均衡表
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BTC/JPY パターン分析
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テクニカル的には、一目の雲を下抜けており、上値が重そうだ。ただ、まだレンジの中に止まっており、上抜けには失敗したが、まだしばらくレンジ取引を続けそうであることを示唆している。
BTC月別騰落一覧
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アノマリー的にも4カ月陽線が続いて陰線に転じ、6月はやや強い程度で、さほど強いインプリケーションはない。
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まとめると、6月のBTC相場は材料的にもテクニカル的にもレンジ内でのもみ合い推移を続けそうだ。