6月の中小型!今月のキーワードは…勝ち馬に乗る

 6月に入っても再びバブル後高値を更新するなど、勢い止まらぬ日経平均。日経平均は上がるけど、中小型株が上がらない…5月のような地合いが続くことは、玄人系プレーヤーにとって苦しい環境ともいえます。個人投資家でも一部そうした運用をされている方はいると思われますが、グロース株を得意としているようなヘッジファンドはヘッジをかけています。

 個別株のアルファを狙って数十銘柄を保有する(ロング)一方、ヘッジで最も一般的なのが「日経平均先物ショート」。

 この場合、ロングにしている中小型グロース株が上がらず、ヘッジでショートしている日経平均が大幅高する…そうした環境はヘッジ分が余計となるため、運用環境としては最悪だったりします。理想としては、日経平均が上がりつつ、出遅れてきた中小型株がより上がってくれること…なのですが、6月2日に変化の兆しも!

 この日の日経平均は1.2%の上昇率と強かったのですが、東証プライム市場の値上がり数が1,662銘柄と、4月以降で最多となりました。

 日経平均の上昇率(+1.2%)よりもTOPIX(東証株価指数)(同+1.6%)、東証マザーズ指数(+1.3%)が勝ってもいましたので、出遅れていた中小型株にお金が巡ってきた気配がある(少なくとも4月以降では一番中小型株にとって良好な地合いだった)とも表現できます。

 中小型株にとっての6月相場でいえば、期待できる需給要因もあります。それは、3月決算企業の配当金が株主に振り込まれる時期になることです。6月1日以降、株主総会を終えた企業の配当支払いが増加します。月下旬に増加していきますが、振り込まれた配当金が株式市場に還流することは期待されますよね。

 配当金を再投資に回す投資家は多いと思われますが、確実に再投資する投資家として中小型株ファンドや小型成長株ファンドなどのアクティブ勢が挙げられます。振り込まれた配当金は、各ファンドがすでに保有している銘柄や、新規で投資を検討していたような銘柄に振り向けられることになります。

日本株パフォーマンス好調ファンドの組み入れ上位銘柄(社数多い順)
【条件】(1)過去3カ月パフォーマンス上位20、(2)為替ヘッジ無し(3)スタンダード、グロース上場(4)4月末時点の組み入れ上位10銘柄

ファンド数 市場 コード 銘柄名
3 スタンダード 3856 Abalance
2 スタンダード 5184 ニチリン
2 グロース 9212 GEI
1 スタンダード 1775 富士古河E&C
1 スタンダード 1827 ナカノフドー建設
1 スタンダード 3355 クリヤマHD
1 グロース 4013 勤次郎
1 グロース 4435 カオナビ
1 グロース 4475 HENNGE
1 グロース 4599 ステムリム
1 スタンダード 4837 シダックス
1 スタンダード 5449 大阪製鉄
1 スタンダード 6121 TAKISAWA
1 スタンダード 6626 SEMITEC
1 スタンダード 7122 近畿車輛
1 グロース 7318 セレンディップ
1 グロース 7353 KIYO
1 グロース 7806 MTG
1 スタンダード 7841 遠藤製作所
1 スタンダード 7879 ノダ
1 スタンダード 7932 ニッピ
1 スタンダード 8085 ナラサキ
1 スタンダード 8908 毎日コムネット
1 スタンダード 9845 パーカー
1 スタンダード 9856 ケーユーHD

 今回は、配当の再投資という新規マネーの流入が期待できそうな中小型株ということで銘柄をピックアップ。日経平均(だけ)がやたら強い相場にあって、好パフォーマンスを残す日本株のアクティブファンドが保有する銘柄は何か? これを調べてみました。

 国内株式型のファンド(為替ヘッジ無し)の中で、過去3カ月パフォーマンスが高い上位20ファンドを抽出。そのファンドが、4月末時点において組み入れ上位10銘柄とする当該ファンドの中核銘柄を一挙公開します。このコラムは中小型株に特化しておりますので、その中でスタンダード市場、グロース市場に上場している銘柄のみを残しました。

 好パフォーマンスTOP20ファンドが重複保有している中で最大は3ファンドが重複したAbalance(3856)。この株を持っていたから好パフォーマンスになった…くらいの爆上げ銘柄ですが、仕手株のような気もするものの、大手の国内運用会社も保有しているようでした。

 グロース市場ではGEI(9212)が最多、といっても2社ですが…。かなりファンドにより保有銘柄は異なっており、重複していた銘柄は3社しかありませんでした。

 スタンダード上場銘柄のほうが多いですが、こちらの共通項は「低PBR(株価純資産倍率)」。中小型ファンドの中には、PBR0.5倍を下回るような超低PBRの小型株でそろえているところもありました。

 スタンダードとグロースで毛色の異なる銘柄が出ましたが、こういった切り口で、ファンドを運用するプロの選んだ銘柄を逆検索するのも有効だと思います。日経平均ばかり上がって、中小型株が蚊帳の外…この展開は勘弁という心持ちで、ひさびさに訪れた日本株強地合いを堪能したいところですね!